逆立ち青山羊亭から程近いザイン市の西門近くにある噴水池とモニュメントをもつ大広場公園です。早朝には老人たちが体操場として使い、日中は市民の憩いの場、夕刻は恋人たちの語り場、夜は青年団の溜まり場となっています。また、吟遊詩人や旅芸人たちが歌や踊りを披露する場所でもあります。
公園にある大きな白い虎の像は待ち合わせの目印に利用されています。
ザイン市旧市街の北側にある青葉と植栽に囲まれた大型公園です。整備された砦型の木製大型遊具群や亀山と呼ばれる玄武岩できた亀形の大滑り台は子どもたちに大人気です。近くに小動物園や小博物館があるため、散策に訪れる家族連れも多く見られます。
20年前、イーストエンド人がこの公園に桜の木を植えました。毎年春になるとこの桜が満開に咲き誇り、多くの見物客を楽しませています。
南東湾岸地区の東端にある若者に人気のスポットです。エア湖を望み、眺望広場やモニュメント、花壇群や湧泉を繋ぐ流水路がある大型緑道型公園となっています。
流水路を上空から見ると虹色龍の姿に見えます。巨大な多目的ホール施設と湾岸駐屯所と船着場が隣接しており、湖岸では釣りも楽しむこともできます。
ザイン市旧難民区の南側運河沿いに広がる植栽の中にあるイーストエンド風の庭園です。青葉と紅葉の中に観賞用池と砂山と木造施設があり、屋根の上に小さな鳳凰像の避雷針が設置されています。上空から池を見ると羽を広げた鳳凰の姿に見えるよう造られています。
また、公園を上空から見ると四隅の尖った四角形をしていることから「四稜郭」という名が付けられました。
(ヨハネスさんより)
神話の時代の終わりに起こった最終戦争に参加した古代種族の中に二匹の竜が存在しました。一体は至高神ファリスに仕えるカイザーワイバーン、もう一体は暗黒神ファラリスに仕えるバールクームでした。この二体は終戦まで戦いあい、僅かな差でカイザーワイバーンが勝利を収めバールクームを地に封じました。そしてカイザーワイバーン自らがファリスの命によりその封印を永遠に守護することになります。
その地はエア湖の底よりさらに地下にあり、長い間誰も訪れることはありませんでしたが、魔法王国時代の終わりに起きた小さな地殻変動によって、ザインの街の外れの洞窟から行けるようになっています。
なおこの場所にはある特殊な水が沸いており、この水は栄養分などが多く含まれています。(鳳さんより)
ザインから南に2日程歩いた場所にあり、人口は200人弱の比較的小さな山村です。村の周辺の治安は悪く、山賊が現れることも多いのですが、数年前まで冒険者や賢者の基地となることの多かった大きな村でした。今では治安維持のため、村長と腕に覚えのある村人により自警団が結成され、村の警護をしています。
その理由は村の南、山間の森に小さな石碑が立っており、石碑の文面に因ればその石碑の謎を解けば遺跡へありつける、というからです。その石碑は碑文を読んだ賢者により、「飽食した神の家」と呼ばれるようになりました。しかし、石碑の元へ行った冒険者の大半が死ぬか失踪したが為に、暫く冒険者は寄り付かなくなっていました…。
そして、それに追い討ちを掛けるかの様に山賊がその村を襲いました。理由は未だ不明ですが、森の奥の石碑にあるようです。その山賊は幸いにして村の元村長の活躍により撃退できましたが、その際に村人の半数が死亡か失踪してしまいました。
今では村の南東には広大な墓地があり、月に一度村人は墓参りをします。(夜さんより)
ザインから北に3時間ほど歩いた場所にあり、エア湖の西岸に面した人口100人弱の小さな漁村です。ザイン女王の直轄領に属していますが、お世辞にも周囲の治安が良いとは言えず、にも関わらず近くに守備兵などは駐屯していません。そのため、成人男子の全てと成人女子の有志数名が自警団に所属し、交代で村の警護に当たっています。
村の北は切り立った崖が続いていて、エア湖の岸に沿って南北に伸びています。崖には沢山の洞窟が空いていて、元はリザードマンの集落があった跡と言われています。崖の下は湿地帯が広がっています。この湿地は水鳥が多く、付近の猟師たちにとっては良い猟場です。湿地帯の澱みにはしばしばワニなどが潜んでいるので、猟師たちは小舟に乗って猟をします。
村の東南からは細長い半島がエア湖へ向かって弓状に突き出ていて、先端の小さな山の中腹に「竜塚」と呼ばれる洞窟が空いています。「竜塚」の奥には竜が住んでいると言い伝えられていますが、信じている人はほとんどいません。入り口付近は子供たちの遊び場になっています。
ザインから西へ馬車で2時間半の距離にハーベスト家が治める領地が存在します。ここは人口250人ぐらいの、四方を5つの山(標高200~300メートル)で囲まれた小さな村で、正式な名前はムテス村です。が、ほとんどその名前で呼ばれることはなく、普通は「動物王国」と呼ばれます。
昔は農業、牧畜、林業を中心としていた村ですが、領主の家系が大の動物好きで数十種類に及ぶ様々な動物を集めたことにより、村全体で動物の面倒を見るようになりました。そのため、今ではまるで動物園のようになっています。中には野山に放し飼いで飼われているものもいますが、それらは全て穏和な草食動物か小型の肉食・雑食動物で、危険な動物は存在しません。
また周りを囲む山々にも手を加えており、春には桜や梅、桃、雪柳、躑躅にさつきなどの花木が、夏には紫陽花や梔子、柘榴、槿にかずらなどの花木が、秋には銀杏や楓、紅葉、山茶花にうるしなどの木々が咲き乱れ、桜並木や欅並木、ポプラ並木もあります。これらの植物は、先代の領主ファリアル・ハーベストの代にイーストエンドやその他の地域から取り寄せて植えたものです。今では精密な本数は判りませんが全部合わせて1000本以上はあります。
これらの結果、ムテス村は観光地と化し、毎年近隣の住民や貴族、さらには王家関係者といった者までがやってきます。なお、野外で宴会やお茶会をしたい場合は予約を入れておけばドンちゃん騒ぎも可能です。(鳳さんより)(変更:純平)
新王国暦621年、ムテス村に奇怪な異変が起きました。ハーベスト領内において飼育されていた動物たちが次々と姿を消す事件が発生したのです。
地殻変動と偶然が重なり、古代遺跡から這い出してきた異形の合成生物たちの襲撃を受けて多くの動物が姿を消しました。現在の動物王国はその名にふさわしくない状況にあります。領主とその私兵、そして勇敢な冒険者達の活躍によって合成生物による脅威は取り除かれましたが、観光地としての復興にはまだまだ時間がかかるようです。
しかし、不幸な出来事ばかりではありませんでした。復興に向けて明るい材料もあったからです。
合成生物たちの拠点とされていた場所から、墜ちたる空中都市レックスへの移送ゲートが、無傷のまま、正常に作動しているままに発見されました。現在はハーベスト家と賢者の学院による共同管理となっており、日々学院の賢者が冒険者を伴って移送ゲートの向こう側へと旅立っています。
このゲートを発見したのが冒険者だったことから、ゲートは「冒険者の扉」と呼ばれるようになりました。ゲート周辺では冒険者たちを主な顧客とする宿屋や露店が増え、動物王国に代わる新たな経済の中心となっているようです。また、このゲートは賢者の学院に許可を取ることで一般の人々も使用が可能であり、一攫千金を夢見る冒険者や、スリルを求める道楽者など、ゲートを潜る者は今後も増えていくことでしょう。
許可証発行料として一人100ガメル必要です。ザインの賢者の学院に在籍する者は無料ですが、帰還後レポートの提出が義務付けられています。(追加:まりけろさんより)
連奇岩の生態系は独自のものらしく、ザイン都市部ではまず見られないような珍しい花や薬草が生育しています。特に、花は好事家の貴族たちからの人気が高く、高値で取引されているようです。
商人は「フェザーフォルクが注文した生活必需品(衣類等)」との物々交換で取引を行っていますが、物々交換だけでは上手く取引が成立しない場合、「自分が持ってきた金銭」を預けていったり、先に預けていった金銭を返してもらうことで調整することもあります。
ただし、集落に住むフェザーフォルクは人間に対して好感を持っていないため、フェザーフォルクと交易を行えるのは彼らから信用に値すると認められた極わずかな商人のみです。また、立場的にはあくまでもフェザーフォルクの方が上なので、もし彼らの信頼を失うような事態が起こった場合、フェザーフォルクたちは直ちに取引の中止を通告してくるでしょう。(どるふぃんさんより)
正確に言うなら、ザインで活動しているのはイーストエンド・ジャーナル・ザイン支部ということになります。イーストエンドにおいて普及した瓦版屋をザインでも立ち上げたものです。
ちなみにこの世界において新聞とは以下のようなものでした。
すなわち、活版技術はなく、木版技術もまだ普及していないために手書きであり、大量印刷などもできないので新聞社が今のようにたくさんは存在せず、一方、住民の識字率の高さから瓦版的な地方新聞が存在していました。
というわけで、新聞社と言えるものはザインにおいては「イーストエンド・ジャーナル」のみ、その他それぞれの地域で回覧板的なものは存在していましたが新聞社とは名乗っておらず、新聞の形態は羊皮紙に1枚程度、地域の情報や三文小説などが主な内容、瓦版に毛が生えた程度で、記者の個人的なことや身近な話題が取り上げられやすく、それほど売上はないので記者の多くは使命感のみで続けており、現在のような政治的影響力は皆無、これが従来の新聞事情でした。
しかし、「ブラッド・ダイヤモンド事件」をイーストエンド・ジャーナルがすっぱ抜いたことで新聞の知名度と役割は大きく変わりました。新聞は情報源であると同時に権力に対抗する存在へと意味を変え、無視できない社会的影響力を持つことになっていきます。イーストエンド・ジャーナルの規模も大きくなり、「ザイン・ポスト」や「エイジズ・タイムス」などいくつかの新聞社も生まれました。この事件によって「ジャーナリズムの精神」が確立したと言われ、土屋支部長は後に「近代新聞の父」と呼ばれることになります。(煙屋さんより)
621年夏、イーストエンドジャーナルの出した記事が、ザインの国内外を騒がせました。六貴族の一人であるヤゼール・エイジズがブラッド・ダイヤモンドという技術を用い、領民を使っておぞましい人体実験を繰り返したというのが記事の大まかな内容でした。
以下に記事の一部を抜粋します。
ブラッド・ダイヤモンドは一見すると赤い宝石のようだ。しかし、その実態は人間の精髄を魔法処理し結晶化させたものである。
この結晶は、人間の頭部に埋め込むと体内に溶け込み、元となった人間の記憶、経験、人格、技術等を埋め込まれた人間に与える。この結晶は通常の人間から6~13個程度取ることができるらしい。
問題点は、精髄を取り出された人間は死ぬこと、埋め込まれた側の人間の人格も破壊されること、それに埋め込まれた身体に移った結晶体の元になった人間の人格もやがて精神剥離などの異常をきたし、薬や人格統合などの処置を定期的に行わない限り活動できない点だろう。これを開発した研究者ガブリエラ・アーミテジはこの研究を失敗と思っていたことが、彼女の残された日記から読み取れる。
だが、ヤゼール・エイジズ卿はそう思わなかったらしい。考えようによれば、長年の修練が必要な技術者の育成において上記の短所はむしろ利点になる。
通常、優れた技術を持つ者はその技術の習得に長い年月を必要とし、コスト的にもおいそれと使い潰すことはできない。また、技術を持つ者が肉体的素養に優れていることもまれだ。だが、この技術を用いれば、50年の技を積み重ねた少年拳士も老練な魔術を操る少女も量産できる。さらには、それらのうちの何人かに更なる修練を重ねさせ、精髄の元にすれば、容易に人の限界を超えることもできる。メンテが必要ということは裏切られるリスクが低いと言い換えることができる。必要なのは優れた技術を持つ何人かの“素”と、それを埋め込む肉体的資質に秀でた若者。
ずいぶんと人間の尊厳を馬鹿にした話である。
これほど突拍子な話を信じれないかもしれない。だが、確かにブラッド・ダイヤモンドの噂は一部社会においてここ1年ほど前から囁かれていた。そして将来を嘱望された導師ガブリエラ・アーミテジが失踪したことも事実である。しかも、この1年ほどの間に、エイジズ領内において剣豪ハーディ、武竜アジズ、最高導師シャストリなど、かつて伝説と共に一時代を気付いた英雄達、いまや齢80を越える達人たちが相次いで死去、もしくは失踪している。さらにはエイジズ領キルフォードの村で、魔物を退治すべくエイジズ家の命で集められた若き領民たちがそのまま姿を消し去った事件や、エイジズ領内で行われたスポーツの祭典に出場した選手の何人かが、故郷への帰路で山賊に襲われ姿を消したという事件など、優れた肉体能力を誇る若者が消える事件が起こっている。
これらははたして、単なる偶然だろうか?――イーストエンド・ジャーナル 夏号
この記事は大きな反響を呼びました。無数の写本が作られ、ザイン全土にこの事件を扱った高札が立ち、吟遊詩人たちはエイジズ家を糾弾する歌を広めました。エイジズ領の各地で暴動が起き、それをエイジズ家は力づくで鎮圧し、それが更なる暴動を呼ぶことになります。周辺諸国も今回の件を公に非難するようになりました。エイジズ家とザイン王国軍との間でじき戦争が起こるという噂が流れ、避難民や火事場泥棒も増え、治安も悪化していきます。
そんな中、ヒルダリン女王が公にいくつかのことを行いました。
一つには、貴族全員に学院と神殿の協力の下、「ブラッド・ダイヤモンドの作成に関らない」、「ブラッド・ダイヤモンドの技術を葬り去る」というギアスおよびクエストをかけ(まず率先して女王自身がかかりました)、女王はエイジズ家に当主ヤゼールの身柄引き渡しと技術の処分を命じました。そして、その命令に従わない場合には武力に訴える用意もあるとして他の5貴族にも協力を要請し、他の5貴族も(表向きは)女王の呼びかけを快諾しました。中でも、ビューリィ家はかなり早くに本件に関する女王への全面協力を表明しています。
次に民衆や周辺諸国に謝罪をし、周辺諸国には同じように権力中枢がブラッド・ダイヤモンドに関らないよう自ら戒めるべきだと提言しました。ここまで事件を認め、謝罪をし、その対策をとられては、周辺諸国もそれ以上の非難をすることができなくなりました。なにしろ、いまやブラッド・ダイヤモンドに対してもっとも潔白なのはザインとなったのですから。
そしてこれは、民衆達の暴動への歯止めにもなりました。
最後に女王はある宣言をします。
民衆の魂は神々より与えられたものであり、国家を維持するための責任を負うものである。しかし、国家の都合により、彼らの精神や魂、そして人間としての尊厳を奪う権利を国家は有しない。
すべて臣民は、神々の前に等しく幸福を享受する権利を有し、国家はこれに奉仕するものである。――ヒルダリン・ミルダハ・ザイン
これは世界で最初の人権宣言となりました。
エイジズ家と諸貴族の睨み合いはしばらく続きましたが、エイジズ家のザキール辺境伯が「ヤゼールを自殺させた」として彼の死体を女王に届け、ブラッド・ダイヤモンドの処分を完了させたことで内戦の危機は回避されました。この功績により、ザキール伯はエイジズ家の当主となります。
ヤゼール・エイジズのスキャンダルに始まった一連の騒動はこうして幕を閉じました。
ちなみにこの事件のきっかけになった記事のネタを持ち込んだのが、ある冒険者たちだという噂がしばらく流れました(シナリオ「くらっぷす!!」において、冒険者セーラ、スルト、ルナ、フェグリーク、ラスの5名がザインを救った事実はごく一部の人間にしか知られていません)。(煙屋さんより)
ザインの西、約10キロほど離れた場所に位置する地下都市です。183年前に発見された広大な地底洞窟を基とします。発見したのはドワーフの探検家ヨハン・ヒュルストでした。彼は冒険者を率いて安全を確保したのち、この洞窟に地下都市を建設しようと呼びかけました。たくさんのドワーフが呼びかけに応え、10年の後に人口30人ほどの街「ヒュルストベルグ」が興りました。
元々はドワーフによって造られた街でしたが、その後、日光を嫌う種族が続々と入植してくるようになります。ダンピールやコレドなど様々な種族が共存するようになりましたが、その一方で種族間抗争のようなこともしばしば起こりました。42年前の「オーク寇」以後、ザインに侵攻したオーク軍の一部が街を占拠するに到り、抗争の激しさは頂点に達します。オーク軍は数年に渡ってザイン王国軍に対する防衛戦を繰り広げ、ヒュルストベルグ先住種族パルチザンとの間で凄絶な闘争を続けました。
オーク・ロマールのザイン侵攻が失敗に終わり、主要部隊が撤退した後も、ヒュルストベルグはなおオーク族の支配下にありました。ヒュルストベルグ占領部隊はザイン国内で孤立していましたが、ザイン軍もまた、地底の暗闇に慣れ、そして何よりも屈強な戦士であるオーク族を攻めあぐねていました。
終わりの見えない戦争状態が続く中、ヒュルストベルグ占領部隊指揮官であるオラフ・カルストロムというオークが「暗視種族共存」を提唱し、併せてザイン軍に対して停戦を呼びかけました。街は種族の代表を選出しての議会制に移行し、ヒュルストベルグのオーク軍はオーク・ロマール本国に先駆けてザインとの停戦を果たしました。これが8年前のことです。議会を中心とした政治体制はオーク寇以前から続いていた種族間抗争を沈静化させる効果もありました。停戦と種族間融和に貢献したオーク軍指揮官の功績を讃え、街は「カルストロム」と改称されました。
停戦の条件として街にマーファ神殿が建設されました。これは後のオーカス神「転向」にも大きな役割を果たすことになります。市街戦の中で破壊されたブラキ、マイリー両神殿も再建されました。
さらに、停戦の副産物として(地上に進出しないという条件つきではありますが)街に自治権が認められました。人間以外の種族が住民の大半を占める一方、王都にごく近いという地理的条件が障害となり、街はこれまで自治を認められずにいたのです。自治権獲得はヒュルストベルグ時代からのまさに悲願でした。
その後、街は復興し、以前にも増して発展を遂げました。今では商店や神殿など生活に不自由しない環境が整っています。オーカス神の教義修正と、それに伴うオーク・ロマール王国との本格的な停戦以降、日光の差さない街への移住希望者が激増し、物価は高騰しました。特に都市最深部は「富者の住む街」として定着し、これに伴って富裕層を相手に商売する者も増えていきました。街にはマーファ神殿のほか、オーカス、ブラキ、マイリーの各神殿が存在しています。
現在、街の人口は約1000人です。
なお、王国は人間に対し、ダンピールの多いこの街に入らないよう自粛勧告を出しています。(コルチョネーラさんより)
貴族街の中央広場前にそびえており、毎日決まった時間に鐘を鳴らしてザインの人々に時を知らせています。時計塔の下はアーチになっていて、通り抜けができるようになっています。
時計塔のからくり時計は、毎正時4分前に始動し、大時計の脇の人形が動いて鐘を鳴らします。ドワーフ職人ボーグリの技とセンスが光る逸品です。(煙屋さんより)
新市街の、オラン人が多く住んでいる区画に店を構える銀行で、高利貸し(質屋)から金塊の保管、両替商(貿易決済業)まで様々な業務を取り扱っています。頭取はオラン難民出身の“金貸し”マシュー・シャイロックです。
取立ては荒くれ者も使う強引で冷酷非道なやり口ですが、官憲を抱き込んでいるため逮捕もされません。
一応はワッキーワグに保護料を納めていますが、これは単に他のオラン人に配慮しただけのようです。幾重にも張り巡らされた防犯設備や高額の報酬によって集められた錬度の高い私兵を揃えており、盗賊たちはこの銀行を“竜の金庫”と呼んでいます。これまでこの銀行への侵入に成功した盗賊はいません。(煙屋さんより)
新市街の一角に屋台や露店の集まるエリアがあります。種類は豊富で、路上には揚げパンや蜜菓子、香草茶、串焼き肉に揚げ芋、焼いた川魚など様々な香りが漂っています。夜になると多くの市民が繰り出してきては安酒で一日の疲れを癒していきます。
大道芸人などもよくこのあたりで技を披露しています。(煙屋さんより)
エア湖の湖畔にあり、真の漢(ヲトコ)を目指す者達が集う、ザインで最もアツイ場所です。日々、自己鍛錬を怠らない事を塾訓とし、ストイックに、そして向上心をもって筋力トレーニングすることを良しとしています。男闘湖塾の利用者は塾生と呼ばれ、基本的に熱いヤツが多いのが特徴です。塾生は主に武道家や戦士など、身体が資本の人々が多く、己の筋肉を誇示するが如く衣服は身につけず、腰ミノ一丁が正装となっています。流行なのか、それとも自然とそうなったのか塾生は男語を話し、会話はポージングと共に行われるのが塾内では普通です。
此処を卒業していった者はソッチの世界ではかなりの高地位に就き、ザインの文化、経済の発展に貢献しているようです。
アトンの災厄後、ザインを支えたのはその不屈の男魂(メンソウル)を持った男達であったのはあまり知られていません。
最近試練を受けた一人の男が冒険者の手助けを受け、新塾長に就きましたが、その冒険者5人は永久名誉ビルダーとしてその名を男闘湖塾の歴史に刻みました。
※男語…語尾に「~じゃあ」「~である」など断定する言い回しを多く使うことが特徴です。類義語に男弁があります。(まりけろさんより)
強力なレッサー・ドラゴンがザイン南方の山脈に住みついており、“堕ちたる竜”ロウシオルとして知られています。レッサー・ドラゴンであるにもかかわらず、この竜は古代語魔法、精霊魔法、暗黒魔法を高いレベルで操ることができます。彼の居城である大洞窟は火山の火口付近にあり、充満する硫黄ガスとアンデッドの軍団によって守護されています。彼自身は用心深く狡猾で、かつ強欲です。
実のところ、ロウシオルの正体はスペクターとなったダークエルフであり、それがレッサー・ドラゴンへの憑依に成功したものなのです。彼は奇跡的な巡り合わせで手に入れた今の肉体を非常に気に入っています。
愛染元譲の実家で開かれている診療所です。愛染元譲もかつてはここで医者をしていましたが、齢60歳で冒険者としての第二の人生を歩みだしており、診療所にはあまり顔を出しません。しかし、息子の妙才(イーストエンド人、39歳、ドクター4)、その妻の神楽(同、35歳、ヒーラー3)、孫娘の明日香(同、14歳、ヒーラー1)の3人で診療所を切り盛りしています。
旧市街地にあり、下級貴族や商家など、多くの富裕層のホームドクターとしてその腕を買われています。また、愛染家が代々ファリス神の信者だったことから、ザインのファリス神殿と愛染院は暗黙の協力関係にあり、魔術による緊急の治療が必要な患者を神殿へ転送する体制が整えられている一方、神殿で治療した患者のリハビリを行うなどのアフターケアを請け負ってもいます。
妙才の発案で、月に2度、旧難民区での無料診療が始められました。この無料診療が定着しているとはまだまだ言いがたい状況ですが、妙才は気長にやるつもりのようです。(バクさんより)
芸術都市ベルダインに本校がある、芸術・美術・音楽の学舎です。芸術大学とは銘打っていますが、一般教養学部もあります。ザイン校は新王国暦610年に新市街へ設立されました。
授業料は安いとは言い難く、そのため生徒の多くは貴族や資産家など富裕層の子息子女が占めていますが、現校長が積極的に奨学金や授業料の減額といった援助制度を推奨しているため、才能を見出された一般人や貧困層の生徒も増えつつあります。敷地内には学生寮もありますが全寮制というわけではなく、朝夕には登下校する制服姿の生徒を目にすることができます。ベルダイン本校と違い設立からの歴史がまだ浅いので、今のところは著名人と呼べるほどの卒業生を輩出してはいませんが、教師一同は(良い意味でライバル心剥き出しで)本校に負けじと教鞭をふるっています。
学生食堂でのみ販売される数量限定のプリンは生徒達に人気があり、この争奪戦はちょっとした名物となっています。また、いくつか学校伝説(それほど歴史もないのに!)があり、その一つに校舎裏の桜の大樹があります。校舎が建設される以前からそこにあったそうですが、花咲くその樹の下で告白するとそのカップルは永遠に結ばれるといわれています。(倉瀬さんより)
ラムリアースにある山間の温泉郷です。ザインからはエア湖を通ってマルヴァーンの港へ向かい、そこから陸路を30km北上したところにあります。良質の鋼球が取れることでも有名で、温泉郷には鉄製品の工房が多く点在しています。
ここでの鉄製品は通常の二割引程度で買い物ができるとあって、それに目をつけた旅行社が冒険者向けのツアーを商品化しています。
温泉は鉄分が入っているため赤く、神経痛や冷え性などに効能があります。(コルチョネーラさんより)
イーストエンドの山間にある室賀の里に暮らす者たちの総称です。元々は野武士、山賊の類だった集団が戦乱の中で傭兵に転じて集落を作ったことから生まれました。先の戦乱では安倍方に味方し、容赦なく敵を屠った事から「鬼室賀」と呼ばれ恐れられました。
戦いの中で個々の実力も高まり、合戦の兵力としては勿論のこと、間諜、威力偵察、要人暗殺など様々な任務に用いられ、安倍方の勝利に大きく貢献しました。しかし、戦乱が収まると厄介者として疎まれはじめ、結果として大陸に武者修行に出る者、個人的に用心棒や暗殺者として抱えられる者など散り散りになっていきました。
里の者は血は繋がらなくとも全員が室賀姓ですが、普段は異名で呼び合うことが多いようです。(宮さんより)
ザンティ連邦に異を唱え、「強者による弱者の支配」を旗印に神楽の、神楽による独立国家を建国しようとしている過激派政治団体です。無論、その活動内容から各盗賊ギルドとは犬猿の仲ですが、双方の組織壊滅を恐れるが故、未だ冷戦状態です。
テロ行為・強奪・略奪・要人暗殺など、神楽にとってプラスになることはなんでもします。
神楽は7人の最高幹部が取り仕切っており、彼らは“七賢老”と呼ばれています。盗賊ギルドや官憲などは彼らの正体や神楽の本部などの情報を得ようと必死ですが、そのほとんどは闇に閉ざされており、詳しいことは彼らにも分かりません。
ザインに住む市民は“神楽”の存在を知ってはいますが、その活動内容まではあまり知られてはいません。
秘密結社“神楽”を運営する七人の最高幹部です。その正体は盗賊ギルドの情報網を持ってしても掴めません。分かっていることは彼らは恐ろしく狡猾で、そして熟練の冒険者技能を持っているということだけです。ザイン市の中で“七賢老”は密かに一般市民と同様に生活しているのかもしれません……。
(シンさんより)
暗黒の島マーモにおいて、定期的に行われている武闘会があります。最強は誰か?という極めてシンプルなコンセプトを追求すべく運営されています。現在の大会主催者“カトリーヌ・ドヌーヴ”になってからは、ショービジネスの色合いが濃くなりましたが、それでも骨子は受け継がれています。
大会の特徴としては、参加者の種族に制限がないことがあげられます。およそ他方では怪物とされている種族でも、選手として参加しています。試合ではなく、死合いを旨としていますので、選手の安全を講じる規制というものがほとんどなく、大会での負けは、ほぼ死を意味します。それほどの危険があっても、優勝者には莫大な富と、主に裏社会での名誉が約束されているので、参加を希望する者は毎回あとを絶ちません。
余談ですが、会場を正確にいうと、暗黒の島マーモの周りにある小島がそれにあたり、その小島は実は巨大な何かの化石であることは、ごく一部の者にしか知られていません。
歴代の大会主催者であり領主であるドヌーヴ家は、名声やビジネスなどではない、ある意図をもって、この地で武闘会を開催し続けているようです。(倉瀬さんより)
世界の海を股に駆ける海賊船です。
船長はホーク・ブラック。銀の銃“ワン・オブ・サウザンド”を愛用するということ以外、容姿は全くの不明で、逞しい剛胆な大男、狡猾な隻眼の老人、仮面の美丈夫など噂話には事欠かきません。そのことも指名手配をしている数多の商人や治安を担う者達には、頭痛の種になっています。
主に富豪の商船が狙われるのですが、カタギの命は奪わないのが彼の流儀らしく、金品以上の被害が出た話はありません。そのためか、庶民からはあまり悪い評判を聞くことがありません。しかし、同業者には疎まれているようです。