11/30(日) 19:28:01,管理代行委員会,lakeair0621@yahoo.co.jp,離脱受付開始します,
倉瀬さんから連絡を頂きまして、本日から離脱受付を開始します。
参加継続確認済の参加PL様が全員離脱するか、6ヶ月が経過した時点で
当フィールドは強制終了となります。

GMからの途中終了として処理させてもらいました。
倉瀬さんも煙屋さんもこのシナリオではGMらしいので、
普通の処理をさせて頂くと経験点の獲得はありません。

もしも何かあれば、ご連絡下さい。お疲れ様でした。
,http://www.journey-k.com/~brpg-la0621/index.htm,,,no 04/11(金) 16:03:24,倉瀬,,先が見えないトンネル状態ですが,
>なんなら、もう少しの間、休憩にしておきますか?

 始めてかまいません。
 どうも、いつ状況が改善されるか検討がつかないので、それなら始めてしまったほうがいいかなと。
 でも、できればシナリオの終わりまで長くない展開が好ましいです。折角のキャンペーンなんですけど(溜息)。
,,,,no 04/08(火) 22:59:04,煙屋,,忙しいのは一段落,
ということで再開に向けて続きを書いてますが、
倉瀬さんのほうはまだリアルが大変そうですね?

なんなら、もう少しの間、休憩にしておきますか?
,,,,no 03/10(月) 10:36:28,倉瀬,,了解です,
 休憩してまーす。
,,,,no 03/06(木) 23:34:28,煙屋,,とりいそぎ,
>>倉瀬様
 >私事でごたついてて時間が……。
 いえいえ。遅筆ではないですよ。
 ところで、私、リアルがびみょーに忙しくなっております。(ぶっちゃけ年度末で締め切りがたくさん)
 倉瀬さんもお忙しいのなら、3月末くらいまで、一旦休憩しませんか?
 リアルを乗り切りしだい、復活はします。
,,,,no 02/27(水) 11:08:04,倉瀬,,酒場,
    ・
    ・
    ・

再び水路を利用し、ジョニーらは脱出することに成功したのだった。
水路を探索中だったノワールとも合流を果たし、
そして今、一行はとある路地裏の寂れた酒場にいた。

ジョニー達は、地下オークション襲撃を計画していた。
その際、どうしても問題になるのが"陰獣"という、
専属の警備集団の存在だった。
ジョニー達が賭博闘技場にいたのは、"陰獣"に対抗できる戦力を
スカウトするのが目的だった。

ジョニーの参謀役であるスタンにとっては、
エルフなどというものには全くその価値を見出しておらず、
不純な動機でジョニーがリスクを冒してまでクロエを
スカウトしてしまったのには、心底腹を立てた。

が、今、心底落ち込んでいるジョニーを見て、
ざまぁ見ろと少しは気が晴れた思いだった。
クロエに仕掛けられていた魔法封じの飾りを取り除いてあげて、
初めて相手が男だと分かった時のツラったら!

とにかく、拾ってしまったのだから、今更ウダウダ言っても仕方がない。
論理回路なぞ無用な男で、自分とは正反対で非常に理解しがたいが、
その悪運に助けられてきたことが幾たびかあったのは事実で、
そこが結局、反対はしつつも最後は同意してしまう所以だった。

現にこうして、あのマリアンヌを素手で殴り殺してしまった格闘家と、
コネができている。
しかも、向こうも地下オークションには因縁があると言うではないか。
なんという悪運だろう!
なんとしても手を組みたい、スタンは意気込んだ。

「――つまり、君たちは"陰獣"という暗殺者をどうにかしてくれればいい。
 どうだ、手を組まないか?」

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 あぁ、超遅筆ですいません!
 私事でごたついてて時間が……。
 半端ですみませんが、なぞのジョニー一派と接触したところで、
バトンタッチいたします。
,,,,no 02/27(水) 11:07:20,倉瀬,,賭博闘技場,
    ・
    ・
    ・

「あいつ、面白いな。」
「…まぁ、かなり浮いたナリではあるな。
 そういう意味では面白いかもしれんが…。
 エルフのメイドなんて、街の金持ちや貴族がお屋敷で飼ってるもんだ。
 こんな場所で、お目にかかる代物じゃあないんだがな。」
「へ〜そうなんだ〜」
「…妙な気を起こすなよ、ジョニー。
 俺らは腕が立つヤツをスカウトしに来たんだ、にぎやかしじゃない。」
「でもさ、あっという間に3人抜きしてるじゃないか。
 腕も結構あるんじゃねぇか?」
「所詮はエルフ、すぐにメッキがはがれる。賭けてもいい。
 瞬時に急所責めで倒してるのは、非力で体力がない証明だ。
 チンピラ程度にはともかく、できるヤツには通じない。
 がんばりは認めるが、次の対戦相手を見ろ。
 あれは分かってるヤツの目だ。
 長期戦に持ち込んで、スタミナ切れで失速したところをズバッといくぞ。
 なぜかは知らんが、あのエルフは魔法が使えないらしいし、
 敗北は決定的だな」
「魔法封じを仕込まれてるのに気付いてねぇんだよ。
 飾り物とかに仕込まれてるハズだ。
 エルフの飼い主がよくやってる手口だ。」
「…お前、やっぱりとぼけてたな。
 なら、もう分かってるだろ? 俺の言いたいことは。」
「お前、さっき負けるのに賭けるっつったよな?
 もし勝ったら、あいつをスカウトするってことで決まりな。」
「待て待て待て!
 いいか? あのエルフは公開リンチにかけられてるんだぞ、
 始める前に余興試合だとふれこんじゃいたが、間違いない。
 つまり、死ぬまで試合は続く以上、まともにスカウトする機会はない!」
「そうだな、まともにはな。」
「ジョニー、こんなところでトラブルは勘弁してくれ!
 これ以上のリスクなんざ、ごめんだ!」
「まぁまぁ、どうせ負けると思ってんだろ?
 そしたら、話はそこまで。心配するこたねぇだろ。
 だから、そう熱くなるなよ兄弟。」
「だけどな! …ったく、なんだってアイツに入れ込む?」
「俺、メイドフェチなんだ」
「絞め殺すぞ、馬鹿野郎!!」

    ・
    ・
    ・

しかし、敗北を予告された試合に、クロエは勝った。
本人はその事にたいした感慨もなさげに、
リングのコーナーで静かにたたずんでいた。
これまでに比べて大きく時間をかけた試合だったが、
さも計算どおりに制したように見えるだろう。
しかし、それはそう思わせるためのポーズだった。
スタミナ切れを悟られては、勝機を失いかねないからだ。

対戦中も脱出の機会がないものかと、
金網からの出口である扉をうかがっていたが、
しっかり施錠された上に、番人が外側に居座って動く気配がない。
困ったな、せめて杖でもあれば…。
とにかく、諦めず勝ち続けて時間稼ぎをするしかないな。
自分自身を叱咤激励し、わずかでもスタミナを取り戻すべく、
呼吸に神経を集中した。
「…?」
ふと、クロエは気がついた。
どうやら、一部ににわかファンができたらしく、応援する声があった。
あいにく、それに応えられるほど余裕はなかったので、
ずっとシカトした形になっているのだが。
どうもそれが良かった(?)らしい。
萌えだのツンデレだのヤンデレだの、好き勝手なことを言っていた。
本人の知らないところで、妙な設定ができあがっているようだった。

と、その時。
「火事だー!」
会場の奥で男が叫んでいた。
見ると、その男が飛び込んできた扉から、
黒い煙がもくもくと会場内に入り込んできているではないか。
「や、焼け死ぬー!」
「に、逃げろー!」
たちまち会場内はパニックに陥った。
広くもない出口に向かって一斉に動き出した為に押し合いへし合い、
もはや火事そのものよりも悲惨な事態になった。

これは好機だと、クロエはすぐさま扉へと向かった。
「…!」
しかし、鍵を持つ扉の番人はいなかった。
観客ら同様、さっさと逃げ出してしまったのだ。
扉を壊すには力も道具もない。
なにか手はないかと周囲を見渡していると、
こちらに向かってくる人物がいることに気がついた。
カギを持ってきてくれたのかと思ったが、
その男はシーフツールを取り出し、解錠しはじめた。
怪しいなとは思ったが、詮索している場合ではないだろう。
「よし、開いた。こっちだ!」
男が手を引いた。

    ・
    ・
    ・
,,,,no 02/27(水) 11:05:57,倉瀬,,地下河川から,
さっぱりさらわれた事情は分からなかったが、
どうせユウノやシャルロットとは関係ない話だろう、とクロエは結論づけた。
だったら、さっさと脱出するのみだ。
まずは手足を縛る縄を抜いてみる。
…よし。
だれも気付いていないことを確認すると、クロエは不意打ちでランタンを蹴落とした。
こうなってしまえば、夜目の利かない男たちにはなす術ない。
あとはクロエの独壇場だった。

    ・
    ・
    ・

クロエはようやく見つけた桟橋に筏を乗り付けて、やれやれと少し安堵した。
一本川かと思っていたら、迷路のように入り組んでいた為、
水路での帰還を断念せざるをえなかったのだ。

どこに通じる桟橋かは分からなかったが、とにかくここまでこれたんだ、
あとは陸路で帰れるだろう。
まだ気絶した人さらいの男どもから、使えそうな手荷物をいただいて、
クロエは桟橋に続いた上り階段を進んだ。

慎重に突き当たりのドアを開けてみると、そこは物置のようだった。
入ってきたドアが隠し扉になっていたということは、
あの桟橋は脱出用のものだったのだろうか。
いかがわしい場所へ踏み込んだっぽいが、選り好みしている場合ではないと思い直す。
何か得物がないか探してみたがロクなものがない。
無いよりはマシかと、モップを手に取った。
ふと、そこにあった姿見に映った自分がいた。
髪をツインテールにしたメイド服のエルフが持っている。
なんておあつらえな得物だろうと、なんだかおかしくなった。
「…………」
笑い声を上げようとしたが、やはり声は出なかった。
なぜだか分からないが、目が覚めてからずっと声が出せずにいた。
音のでないため息を一つつくと、クロエは先を急いだ。

    ・
    ・
    ・

喧噪が気になって、ある扉をのぞき込んだクロエは、
ここが何なのか理解したような気がした。
賭博闘技場なのだろう。
中央に金網で囲われたリングがあって、
その中では武器を持った男達の戦いが繰り広げられていた。
その周りを博打札を持った男達が、
戦いぶりに一喜一憂しながら大声を張り上げていた。
そのうち、一方の闘士が右から袈裟懸けで斬りつけると、
相手は大きく血しぶきを上げて倒れ込んだ。
勝負がついたとみるや、博打符やジョッキ、なかには椅子までもが宙を舞い、
一層大きな歓声が鳴り響いた。

いささかゲンナリして気が抜けていたのだろう、
不意にクロエは会場の男から呼び止められてしまった。
「おい、何してる!?」
とっさに掃除をしてますよという風に、
モップをせわしく動かしてアピールしてみた。
「なんだ、掃除か。
 なら、今のうちにとっとと血で汚れたリングを清掃してこい。
 しっかりやれよ、血糊スリップで決着ついた試合なんざ、
 客からのブーイングがひどくてかなわんからな。」
こくこく頷いて、クロエはリングへと小走りに向かった。
幸運にも、どうにかごまかせたらしい。
正直、目立って仕方がないリングに入りたくはなかったが、
引き返せば逆に怪しまれてしまうだろう。
仕方なく金網リングに上がると、テキパキと清掃してのけた。

さて、金網リングから出ようか、としたその時。
目前で、がしゃんと扉を閉められてしまった。
「はい、ご苦労さん。」
ニヤニヤと男は笑っていた。
…ハメられた!
喋ることができないクロエは、男をにらむことしかできなかった。

    ・
    ・
    ・
,,,,no 02/17(日) 01:16:58,煙屋,,マリアンヌとの決闘4,
クロエは激しい水音で目を覚ました。
頭が重い。
体を動かそうとして、後ろ手に縛られていることに気づいた。
クロエは静かに自分の状況を確認する。

クロエは寝転がされていた。
両手両足は縛られ、身動きは取れない。
クロエの側で、男が3人座っていた。
2人はオールを扱いでいるようだ。
そうすると、どうやら今寝ているのは、筏か小さいボートの船の上らしい。
どうりで揺れる。

一人は、他の2人よりもややいい身なりで、ランタンを手に前方を見ていた。
ふと、そいつの視線がクロエに向いたので、咄嗟に目をつむり、寝たふりをする。

視線が外れた気配がした。

「急げ。ここは最近変なことが多いって聞く。」

男の声だ。ここってどこだ?
さっき見たところ、灯り一つなく、ランタンにほのかに照らされた天井らしきものが見えた。
とすると地下河川?

クロエがそんなことを考えながら、戒めを解こうと密かにもがいていた。



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課題:出題者、煙屋
「脱出!」
なんとか脱出してください。

縄抜けの目標値は12(8)です。8以上なら抜けれるけど、気づかれる。
12以上なら気づかれずに抜けれるとします。

男達は
山賊首領×1、山賊幹部×2としてください。

その後の展開はお任せ〜。

そのまま無抵抗を装ってついていくもよし、
白いワニと死闘をくりひろげるもよし、
地下下水道に住み着いている地下帝国人の襲撃に合うもよし、
なんでもアリですよ♪

あぁ、後、クロエさんがどんな格好をしてるかもお任せしますw

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,,,,no 02/17(日) 01:15:44,煙屋,,マリアンヌとの決闘3,
ノワールは店の奥の部屋を探していた。
すると鍵のかかった扉があった。
マリアンヌから奪った鍵を使用すると、鍵が開く。
扉の向こう側は地下へと続く階段だった。
ノワールは警戒しながら降りてゆく。
階段を降りきったとき、正面から不意に銃弾が飛んできた。
咄嗟に身をそらせたおかげで、銃弾はノワールの頭上を通り、階段に当たり火花を散らすだけで済んだ。

降り切った場所は広い石造りの地下室だった。
そしてノワールの正面に、醜く、背中にひどく大きなこぶのある、猫背のオークの老人が銃を構えていた。
オークの老人の後ろに扉が見える。

「マリアンヌをどうした?」
「クロエさんをどうなさいました?」
「ふん、答える気は無し、か。
 まぁ、ここに来た以上、想像はつくがな。」

老人は銃の引き金を絞った。
ノワールはその瞬間に、滑るように老人の側へと踏み込んだ。
ノワールは踏み込むと同時に、左手で老人の腕をそらす。
銃弾がノワールの脇をすり抜ける。
ノワールはその勢いのまま、左腕を曲げ、肘を老人の鼻下にめり込ませた。
そのまま右手刀を肋骨の下に差し込む。
老人が吹き飛んだ瞬間、ノワールの蹴りが老人の首筋に叩き込まれた。
老人は背後の扉にぶつかり、そのまま前のめりに床に突っ伏した。

ノワールは事切れたオークの老人をどかし、扉をノックしてみた。

「どなたか、いらっしゃいます?」
「………誰?」

かすかに、少年の声が聞こえる。
ノワールはマリアンヌの鍵を扉の鍵穴に突っ込んでみた。
回る。
カチャッと音がして扉が開いた。
中には、ナース服を着た少女が震えていた。
両手両足に枷がついている。

「えっと?」
「…あなたは?」

声は少年だ。
そういう趣味の人なのかなぁと思ったノワールは、そのことには触れないことにした。

「わたしはノワール。
 ここにクロエさんっていう、エルフの方と来たんだけど、
 クロエさんが見えなくなってしまったので、探しに来たの。」
「あぁ、彼か。」

メイド服の少年は呟いた。

「ご存知ですの?」
「あぁ、彼はついさっきまで、ここにいたよ。
 気を失ってるみたいだった。
 マリアンヌに連れてこられたんだ。」
「で、彼は今どこに?」
「連れてかれた。
 さっき男が入っていって、彼を選んだ。
 だから僕は助かったんだ。」
「クロエさんはどちらに連れてかれました?」

少年は顎で入り口と反対の壁を指し示した。
そこには扉があった。
ノワールは扉を開こうとする。鍵がかかっていた。
これもマリアンヌの鍵で開いた。

扉を開けて外を覗くと、半径3mほどの半円筒状のトンネルの中を、川が音を立てて流れている。
水のせいで底は見えないが、ひょっとしたら円筒状なのかもしれない。
川の両側には僅かに人が歩ける幅の犬走りがあった。

「僕の枷を外してくれないかな?
 この店で食事してたら、急な眠気に襲われて、
 気がついたら、こんな格好で、ここにいたんだ。」
「あら?そういう趣味ではなかったんですのね。」

要するにマリアンヌは、そういうサイドビジネスに手をだしてたのだろう。
店を訪れた可愛い少年を捕まえ、女装させて、売り飛ばす。
クロエもその犠牲になったわけだ。
クロエの腕前を考えると、一服盛られてしまったのだろう。

ノワールは老人の死体をあさった。鍵束が見つかる。
その時、老人のいた部屋の隅に見覚えのあるものを見つけた。
ノワールの荷物と、クロエの荷物。
そこにはクロエの大事に持っていた木刀があった。
そしてクロエの衣服も。

「………」

ノワールは鍵束を手に、牢に戻り、少年に尋ねた。

「で、クロエさんは、今どんな格好に?」


    ††††††††††††††††††††††
 
,,,,no 02/17(日) 01:14:52,煙屋,,マリアンヌとの決闘2,
で、姉二人に遠い空の下想いをはせられてるノワールといえば、
現在ファンドリアの酒場でオークの看板娘と対峙していた。
マリアンヌはノワールの表情を見て、一瞬戸惑う。
ノワールはやや微笑みを浮かべたような、穏やかな表情になったからだ。

(嘗めてるのか!?)

実際にノワールは嘗めているわけではない。
全身の力を適度に緩めるため、無表情になり、頬が僅かに緩む表情になるのだ。
また、相手に先読みさせぬよう、全身から動きの予兆、色を消すため表情がなくなるのだ。
なにより、ノワールは、戦いが事務的な作業の積み重ねだと知っているからでもある。

しかし、マリアンヌはノワールのその表情は、余裕の笑みに見えた。
マリアンヌは鼻息を荒くすると、再び体を低くして突っ込んでくる。
もはやノワールは余計なことは言わなかった。
ただ、マリアンヌが突っ込む瞬間、踏み込むように右足を、マリアンヌの脛に放ち、
マリアンヌの肩を紙一重でかわしつつ、左膝をマリアンヌの脚の付け根に叩き込んだ。
マリアンヌが苦悶の声を上げ、床に転がる。
 
ノワールはかすかな微笑を浮かべた表情を変えぬまま、マリアンヌとの間を詰める。

「ちょっ!タンマ!」

床に倒れたマリアンヌは、滑り寄るノワールを見て、慌てて片手を上げ、声を上げた。
降参と見せかけて、その隙に立ち上がろうと考えたのだ。

だが、ノワールはマリアンヌが上げた手を払うように、右手刀をマリアンヌの肘裏に叩き込む。
ノワールはマリアンヌの企みを見抜いていたわけではない。
単にマリアンヌの手が邪魔だったからだ。
マリアンヌの腕を払い、そのまま右手刀をかざすようにして、防御を封じる。
そしてガラ空きになった脇下から心臓に向かって左拳を沈下力を乗せ、突き出す。
命中の瞬間に、拳を正しく握りこみ、衝撃を心臓に伝える。

どんっ!と音がして、マリアンヌの体が鳴った。
人体は時としてよく響く。
マリアンヌの意識はこの時点で途切れてはいたが、
ノワールは流れるまま、膝をマリアンヌの首に落とした。
脱力したマリアンヌの筋肉はその衝撃を止めることができず、
マリアンヌの首の骨は背骨から寸断された。

もはや筋肉でしか繋がっていないマリアンヌの頭が不自然な角度で床に横たわる。
マリアンヌの体は小刻みに痙攣していた。

先ほどまで盛り上がっていた観客達も沈黙していた。

ノワールは微笑めいた表情を戻して、我に返った。

「…あっ、クロエさんのこと聞くの忘れてた。」

ノワールはマリアンヌを改めて見た。明らかに死んでる。

(話は聞けないだろうなー)

しょうがないのでノワールはマリアンヌの体をごそごそと探った。
エプロンのポケットから鍵が出てくる。

「これなんだろ?探してみるかなぁ。」

ノワールは鍵を持って、店の奥へと引っ込んだ。

観客達はしばらく店の奥を眺めていたが、やがてレジへむかって殺到しだした。
金の奪い合いと喧嘩が始まる。
もはや、誰もマリアンヌの死を悲しんでいるものはいなかった。 


    ††††††††††††††††††††††
 
,,,,no 02/17(日) 01:14:16,煙屋,,マリアンヌとの決闘1,
マリアンヌは体重を前かがみにして、ノワールを伺う。
ノワールはややマリアンヌから距離を置くようにして、
周囲の状況を把握しながら、マリアンヌに話しかけた。

「あんまり戦う気はないのですけれど。」
「戦う?はんっ!殴られるの間違いだろ!」
マリアンヌは体勢を低くして肩からぶつかってくる。
ノワールはかわしざま、蹴りを二発ほどマリアンヌの脚に放つが、
回避に意識をとられすぎたため、外してしまう。

「ちょこまかとうるさい子犬だねぇ。」
「どうしても戦わなきゃダメですか。」

ノワールはため息を一つつくと、表情を変えた。


    ††††††††††††††††††††††
 

ザイン近くの山の中にある、ウルバラの村。
そこのある道場から、若者が一人転げだしてきた。
「…ひぃ!殺される!」
若者の腕は明らかにありえぬ方向に曲がっており、
若者は転げながら逃げていく。
その若者にぶつかりそうになった、手にはクッキーを乗せたお盆をもった赤毛の美女は、
若者の後姿を見送った後、ため息をついて道場の入り口のほうを見やった。
そこには同じ容姿の赤毛の美女がめんどくさそうな表情で、腕組みしていた。
容姿は同じだったが漂わせている雰囲気はまるで違う。
クッキーを持った赤毛の女性は、ピンクのふわふわした服を身に纏い、柔らかな印象を抱かせるのに対し、
道場の入り口に立つ女性は、胴衣を身に纏い、荒々しい雰囲気を滲ませていた。
二人はノワールの双子の姉だった。クッキーを手にしたほうはロゼ。
胴衣を着たほうはノワールの武術の師匠でもあるルージュだった。

「また、入門希望者を追い出しちゃったの?」

ロゼが責めるような口調で言った。

「喧嘩自慢はあてにならんな。
 威勢がいいのは口だけだ。」

ルージュはつまらなさそうに言い捨てる。

「…一から丁寧に教えてあげればいいじゃないの。」
「武術を喧嘩の延長程度に捉えていたのでな。
 何度も説明してやったのだが、わからぬのだ。
 しょうがないから体で教えてやったらあのざまだよ。」

ロゼはため息をついた。

「そんなに喧嘩と武術って違うの?
 おんなじ殴り合いじゃない。
 そんなに拘らなくたって…。」
「喧嘩と武術を似たものとするなら、
 料理と刀鍛冶など同一といっても過言ではないぞ。」
「…そこまで違うの?」
「そもそも武と喧嘩では身体運用やその精神性から別物だが、
 …一番わかりやすいのは覚悟だ。
 喧嘩は所詮自制された闘争の一形態にすぎん。
 格闘技よりも稚拙な、闘争の一種だ。
 その結果、相手を死に至らしめる覚悟すらない。
 覚悟があるなら、拳ではなく剣や武器を取るべきなのに、
 それすらせず拳だけを振り回し、闘争心に従い、相手にぶつける。
 稚拙で幼稚で覚悟もない、ただの児戯だ。」
「…?
 それって、『殺す気がない』ってこと?
 危ない子なんか、ナイフとか出して、『殺す!』とか言っちゃって、
 実際にしちゃったりするじゃない?」
「殺す気ではない。覚悟だ。
 武術に生きるものは、総じて、
 『死して已む無し。殺して仕方なし』
 という覚悟の元、生きている。」
「………」
「そもそも武において、勝ち負けや生き死ににさして意味は無いしな。」
「ちょっ!生き死にに意味が無かったら、問題でしょうが!?」
「だから、覚悟済みのものだと言っただろう?
 生き死に、勝ち負け。それはただの結果に過ぎぬ。
 そんなものより、戦いの過程にこそ、意味がある。
 だからこそ、武人は怒りや憎悪を戦いの場に持ち込まぬのだ。」

ロゼは眉をひそめてうなった。

「…よくわかんないけど、
 確かにノワールはジョーヌと喧嘩するとき、口喧嘩だけだったわね。」
「あの子は、喧嘩は苦手だからな。
 戦いを前にすれば気持ちが切り替わる。
 ああ見えて生粋の武術家だ。」

ルージュは懐かしそうに、末妹にして弟子のことを想った。

「あの子が凶暴になったのは、姉さんの教育方針の賜物よね。ぜったい。」

ロゼは哀れな末妹を想い溜息をついた。


    ††††††††††††††††††††††
 
,,,,no 02/06(水) 16:29:03,倉瀬,,やっとでけた,
    ・
    ・
    ・

ノワールがおかしいと思い始めたのは、厨房で腕を振るい始めてから一時間ほど
経ってからだろうか。
最初は調理が面白かったことと、次々出されるオーダーで忙しくしてたこともあり、
気にとめていなかったのだが、今少し余裕が出てきて改めて考えてみると、
クロエの姿が見えないのだ。
厨房から出て、ホールを見渡したが、…やはりいない。
ノワールはオークに聞いた。
「あの、クロエさんはどうしたんですか?」
「食材を買い出しに行ってもらってるわ」
「でも、不足した食材なんかないですよ」
「あぁ、そうだわ。出前に行ってもらったんだわ」
「…マリアンヌさん」
「いいからキリキリ働けや、ワン公。」
もちろん、オークの豹変に動じるノワールではない。
「彼をどうしたんですか。」
「聞こえなかったのか?
 あんたには用はない。
 無事に帰りたきゃツベコベ言わずに働いてろや、野良犬。
 それとも犬には犬らしい躾が必要かい?」
オークは重たげなメイスを軽々と持ち上げ、手でトントンと遊ばせた。
口ではどうこう言おうが、既に準備しているあたりが足の一本でも
折ってしまおうという意図はありありとうかがえた。
周りの客は面白げに見やるばかりで、止めようなどという者は一人もいない。
彼らにはちょっとした見せ物が始まったくらいの気分でいるからだ。
ここはそういう街。
カーン。
野次馬がふざけて鳴らした金属鍋をレンゲで打つ音が、
ノワールの少し長い夜の始まりを告げた。

======================================================================================================
課題:出題者、倉瀬
「マリアンヌを倒せ!」

           知 敏捷/                        生命点   精神点
         LV 名 移動  知能 攻撃点  /打撃点  回避点/防御点  /抵抗   /抵抗   知覚
マリアンヌ(オーク)6 − 18/18 11  メイス14 /18    15  /8    24/16   15/14   暗視
                    体当り13 /11
         特殊能力=体当たり(命中したら「筋力B又は生命力B+冒険者LV+2D」の転倒ロールを行い、
              達成値16以上に満たないと転倒します)

   ※基本的にマリアンヌは体当たりして転倒させたところをメイスでめった打ちします。


 お待たせしました。そのわりにはたいしたことなくて申し訳ない!
 一応、誰がなぜクロエをさらったのかを考えていますが、好きにしてかまいません。
 着替えさせられたことで、二人の装備は取り上げられているものとしておいてください。
 もちろん勝てば取り戻せられます。
 相手のホーム(店)ではありますが、とりたてて地理的にノワールの不利には働きません。
 その逆もしかりですが。
 客らは面白ければそれでよしな気分でしかなく、中立です。
,,,,no 02/06(水) 16:28:27,倉瀬,,ショックが響いてるな,
ライラとフロルドリは、フロルドリの父オルランドに面会に行った。
それは、状況が状況ということもあり、今後のことを見据えて、秘密裏な助力と政治的な
予防線を引くために必要なことだった。
本来ライラとクロエ達とは、行き先がたまたま同じ街であっただけで、救出すべき相手は
別である。お互いが一刻を争う状況にあり、片方ずつ助け出すことができない。
ライラの方は道筋がついたこともあって、後ろ髪を引かれつつもここで袂を
分かつことになった。
闇商人レムスの店は、店舗の規模としては中の上だった。
フロルドリが言うには、かつてはもっと大きかったらしいが、10年ほど前にライバル店
との競争に破れて、今のポジションに甘んずることになったらしい。
それ以来、挽回をしようとやっきになっているそうだが。

ひとまず、腹ごしらえをしようとレムスの店近くの冒険者の店に入った。
二人ともシーフギルドなどにコネはないが、冒険者の店でならそこそこの情報が
得られるんじゃないかという思惑もあったからだ。
「わりと普通ですわね」
店に入った感想は、賑わってはいるが取りたてて気の引くものはなく、なんとなく
ファンドリアといえば的なものを期待していたノワールは残念そうだった。
「そうかぁ…?」
何か言いたげなクロエの視線の先には、皆忙しそうにキリキリ動き回っている店員達の中に、
いかにもオネェ風な風体の店員がいた。
「あら、オークぐらい普通でしょう?」
「いや、種族でなくて…。」
化粧のノリの良い感じなのが逆にひいてしまうクロエだった。
「ガタイがガタイだけに、ヤなもん大画面で見させられてる気分だぜ…。
 にしても…なんだろ? なーんかこう…引っかかる気が…?」
「初めての場所なんでしょう、気のせいじゃないですか?」
店の入り口で止まってるのを見とがめた件のオークが声をかけてきた。
「あら、いらっしゃいまっせ〜♪
 ごめんなさいねー、あと少しで席が空くはずだから、
 ちょおっと待っててくれるかしら?」
「あ、いや満室なら別に…」
「オラさっさと飲み終われや豚ぁ!」
豹変したオークの凄みで、あっという間に空席ができた。
「ささ、どうぞぉ〜♪」
「…ども」
きっとこれがファンドリア流接客術なんだろう。
クロエは無理矢理納得してみた。

    ・
    ・
    ・

「…うまいな。」
「本当ですわねぇ。」
ノワールは満足げに頬ばっていたが、クロエは調理の主がさきほどのオーク
(それも看板娘で名をマリアンヌというらしい)いうところに
わだかまりがあるらしく、どうも認めたがらなそうだった。
それにしても落ち着かない。
客らの視線を感じる。よそ者だというのが周囲に分かるらしい。
特に何がイヤかというと、気がつけばさきほどのオーク店員までもがこちらを
うかがっているのだ。なにか視線が熱っぽいのもイヤだ。
目が合うと片目をつむってきたりする。
とはいえ、どこでユウノや闇商人の情報に結びつくか分からない以上、
立ち去るわけにもいかなかった。
そんな相方の葛藤も知らぬげに、ノワールはオーク店員に話しかけた。
「ちょっと聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「あら、メイクの話? ちょっとだけなら伝授してあげてもいいわよ。」
「ホントに!?」
クロエがテーブルをトントンつく音に、ノワールは我に返った。
「えっと、それはまた今度ということで。
 ちょっと、この先のお店のことを聞きたいんですけど。」
「ははーん、情報収拾ね?
 何が聞きたいか知らないけど、ただってワケにはいかないわよ。
 支払いはお金じゃないのがいいわねぇ。
 そっちの坊やを一晩貸してくれれば、うふふ。」
クロエは脂汗を流した。
「う・そ♪
 できれば情報料がわりに閉店までここで働いてほしいわ。
 実はお店の子が急に二人も休んじゃって、おかげで見てのとおり。
 全然手が回らなくて困ってるのよ。
 二人とも経験者? ううん、この際素人でもかまわないわ。
 とにかく手伝って欲しいのよ。」
「わたし、こう見えても料理は得意ですわよ。」
なにかクロエが言いたげだったが、マスターは喜々として聞き入れた。
「即戦力はありがたいわ、着替えたらすぐ厨房に行って。
 そっちの坊やは?」
「あー、まぁウェイターの真似事くらいなら。」
「それじゃ、ホールを頼むわ。お店の服に着替えてね。
 こっちいらっしゃい。」

    ・
    ・
    ・
,,,,no 02/05(火) 23:02:09,煙屋,,あせらなくっていいですよー,
のんびりお待ちします。

なんなら、この後テキトーな課題を振って、私にパスしてもらってもかまいません。

そしたら、こっちもテキトーに続き書いて投げ返すので(笑)
,,,,no 02/04(月) 00:13:47,倉瀬,,フロリドル邸,
    ・
    ・
    ・

数刻後、一行は王都ファンドリアのフロルドリ邸にいた。
最初のうちは冗談も大概にしろといなしていたフロルドリだったが、
一行の話を聞き終わった頃には、もはや真剣に頭を抱えていた。
彼は応接間を行ったり来たりとせわしなく歩き回っていたが、
歩を止めて3人に向き直った。
「どこのバカだ、ザインの王女を誘拐しようなどと企てたのは!
 下手したら国家戦争になりかねんぞ…!」
「とか言って、実は国家戦略で〜とかいうんじゃねぇんだろうな?」
「ばかばかしい、そんな真似をして国家に何の利がある?」
「シャルロット様も、それはないだろうと言われていた。
 混沌の二つ名を冠する国家だが、そこまで愚かしい政治をする程
 ではないとな。」
「じゃあ、どこのどいつだよ?
 武器商人が火種を作ってんのか?」
「それもどうだろうな、まともな損得勘定ができるなら、
 そんな真似もしないとは思うが」
うーむとうなる重い空気をノワールのマイペース風が室外へと追いやった。
「そのへんの詮索話はおいといて、今はお姫様の救出について
 話し合いません?
 誰が首謀者か知りませんけど、要はそのなんとかさんより先に
 助け出せればいいだけの話じゃないですか。」
「だな。
 その後の政治的な話は、王様だのなんだのでやってくれりゃいい。」
「簡単に言ってくれるな。」
二人の騎士は苦笑したが、自分らの分を超えた話には違いないと、
救出作戦について話を進めた。
「ロッテをさらった連中は、たまたま襲っただけのチーマーだと思う。
 ロッテの正体を知っての犯行じゃないはずだ。」
「だからそのような気安い呼び方をするなと何度も…
 しかし、なぜそう言える?」
「ハナからお姫様狙いだったら、あんな罠、危なくって使えねぇよ。
 あと、残ってた足跡が小さ目なのが多くてさ。
 罠のチープさといい、それでチーマーじゃねぇかなって。」
「フロルドリさんは、そういう裏事情に強い方を知りませんの?
 できれば紹介していただきたいですわ。」



 ここで、筆が止まってしまいました。
 続きこれから考えます。少し時間かかるかもです。
,,,,no 02/04(月) 00:09:48,倉瀬,,筆が進まない……,
「ところで、どうしましょう?」
「…うーん、どうすっかなぁ?」
クロエは面倒臭げに頭をかいた。
「痴話ゲンカならほっとくとこだけど、凶器持ち出しちまってるもんなぁ」
「そうですわね、ケンカはやっぱり素手じゃないと」
スコーンと樹の幹にぶつけた額をなでつつ、とにかく場を納めようと
クロエは二人の騎士の間に割って入った。
「ちょっと待てよ、二人とも!
 騎士の剣は重いものであるべきだ。
 チンピラよろしく軽々しく抜くもんじゃねぇだろ、少し落ち着け」
フロルドリが眉根を上げて言った。
「む、賊の仲間か?
 …ふん、山賊風情にしては騎士の心をよく知っているな、小さいの。」
「――っ!!」
面白くなさげにライラも言った。
「お前に諭されるのは気に入らないが、間違ってはいない。
 たまには育ちの良さ気なこと言うのだな、この小兵は」
「――――っ!!!!」
奇跡的にも、クロエは言葉の波状攻撃からの精神力抵抗に成功した。
奥歯をかみしめたような喋りになってしまったのは、
この際大目に見るべきだろう。
「ライラ。
 賊呼ばわりされたら、騎士の誇りに傷が付くし腹も立つのは分かる。
 けど、あんただって逆の立場なら“お前がやったのか?”
 くらいの職務質問はするだろ?
 普段のあんたなら、怒りはしても剣を抜くまではしないはずだ。
 今にして思えば、ちょっとやりすぎたかなとは思うだろ?」
「う…む。
 確かに、色々あって少し冷静ではなかったかもしれん。」
渋々とだが、納得してくれたところをフロルドリが水を差してきた。
「つまりはヒステリーということか、愚かな。
 所詮は女だな」
「愚かさ具合でいったら、あんたもあんただ。
 どこの世界にオレは騎士だなんて言い訳する山賊がいるってんだ。
 お宝も御者も見あたらないのは、そこからだって見て分かんだろう。
 なのに山賊がいつまでもウロウロしてると思うか、普通?」
「…しかし、それでこの女が騎士だという証明にはならん。
 証拠を見せてみろ」
「ガキみたいなイジワルはよせ。
 あんたにだって、証明のしようがないのは分かってんだろ。
 たとえ紋章入りの鎧を着て見せたところで、
 あんた、紋章官並みに見分けがつくのかよ。
 必要なのは、ここで剣を抜くほどの大儀があるのか、じゃねぇの?」
「…ふん。
 たしかに、少し早計だったかもしれん。
 賊と言うには不自然ではあるな」
「程度はともかく、どっちにもそれなりに落ち度ことはお互い認めてんだ。
 だったら、手を取り合えとは言わねぇけどさ、
 剣を収めて様子をうかがうくらいの度量を見せてもいいんじゃねぇの。
 どっちの騎士道にも傷はつかないとオレは思うぜ。」

二人の騎士はしばしお互いを睨み合ったが、
先に収めたのはフロルドリだった。

「冷静さを欠き失礼した。無礼を許して欲しい。」
「いや、こちらこそ過剰に接してしまって申し訳ない。
 まだまだ修行が足りぬと、自分の行為を恥じている。」
一段落ついたらしいと、ノワールも茂みから出てきた。
「どうやら仲直りできたみたいですわね、よかったですわ」
「仲直りっつーのは、ちょっと違う気がするけどな」
クロエの感想に、二人の騎士も苦笑で同意した。
「無罪放免というほどではないから、いくつか質問させてもらうが。
 3人は、何の用向きでこちらに?」
「連れが拉致られてさ。
 それを追ってきたんだが、それでその馬車を見つけたってワケ。」
「イヤリングが落ちてましたから、ここまで来たのは間違いないんですけど、
 辺りにはもう誰もいなくて、さぁどうしようかと思案してるところに
 あなたが来たんですの。」
「ほう。で、その連れとは?」
「うーん…」
「言っても、きっと信じてくれまい。」
「それはこちらが決めることだ。
 まさか、ザイン国のお姫様とでも言うまいな、はっはっはっ」
「「「……」」」
軽く笑っていたフロルドリだったが、3人の思わぬ反応に
笑いがか細くなっていった。
「…お、おい? 嘘だろう…?」

    ・
    ・
    ・
,,,,no 01/31(木) 22:35:12,煙屋,,大変お待たせしました,
>>倉瀬さま
 大変お待たせです。
 とりあえずプロローグでいろんなNPC勢力を出して、うだうださせてみました。
 
 というわけで最初のお題。


======================================================================================================
課題:出題者、煙屋
「ダークエルフ騎士フロルドリをどうにかしよう」
データは、ライラと一緒で完全版p249の騎士です。

現在、フロルドリはライラを馬車を襲った山賊と誤解しています。
で、ライラもダークエルフに侮蔑されちゃってるので、やる気まんまんです。
ほっとけば、どっちかが死ぬまで斬り合いを始めかねません。
どうしますか?
ついでに王都ファンドリアへの潜入方法も考えてなーい。

======================================================================================================

 
,,,,no 01/31(木) 22:33:10,煙屋,,■壊れた馬車とダークエルフの騎士 3,
というわけで、目的地が同じ、&ライラの行動に不安があるということで、
クロエは、王都ファンドリアに潜入しるまで同行することを決意したのだ。

幸いというか、同行している女性二人は、外見と腕っ節だけはいいので、
ちょこっとモテ気分を楽しめる上、山賊や獣の対処に困らなかった。

ということで、あっという間に山を越え、この森を抜ければ王都ファンドリア。
足取りだって、勢い軽くなる。

その時、目の前に奇妙なものが見えた。

壊れた馬車と馬の死骸。
そして木の側には細かく切られたロープと脱ぎ捨てられたザイン水兵の制服。

「…どういうことだ?」
「うーん?」
クロエは馬車の中を覗く。
そこでキラリと光るものを見つけた。
イヤリングだ。
クロエは拾いあげると、ライラに見せた。
「…これは、シャルロット様のものだ!」
「…と、いうことは?」
ノワールが首を捻る。
「姫さんを攫った連中が、ここで別勢力の誰かに襲われたか?
 でもって、このロープの切れっ端やら制服を見るに、
 拘束されてたスパイは、なんとか逃げ出した…ってところかな?」
クロエがそう呟いたとき、クロエの耳に足音が聞こえてきた。
「誰か近づいてきますわ。」
ノワールがそう告げると、茂みの中に飛び込んだ。
クロエも咄嗟に木の幹の後ろに隠れる。

王都ファンドリアのほうの道から来たのは、馬に跨り、甲冑を身に纏ったダークエルフだった。
兜を脱いでいたのでわかったのだが。

そのダークエルフはライラを見つけた。
ライラは剣の柄に手をかけている。

ダークエルフは壊れた馬車の残骸にも目をやる。

「…貴様が、この馬車を襲ったのか?」
「黙れ黒エルフよ。
 私が盗人の真似をするなど、侮蔑にもほどがある。」
「では、この現状をどう説明する?」
「知らぬ。私が来たときには既にこうなっていた。」
「それを信じるとでも?」
ダークエルフが剣を抜き放つ。
「ブレッグストーン家の名に懸けて、嘘は口にはせん!」
「まるで騎士のような物言い。そなたは何者だ?」
「私はライラ・ブレッグストーン。
 かつてモラーナの騎士にして、ザイン建国の祖スラードの末裔、
 8つの分家が一つ、ブレッグストーンの一族にして、
 リナルドが娘、ライラなり!」
「盗人風情が大層なホラを。
 我はフロルドリ。
 ファンドリア建国の七英雄、"黒き森民"フロリマールが血をひく者よ!」

両者は剣を抜いて睨み合う。

そして茂みの中からその様子を覗く二人。
「…二人ともすっごい家柄ですねぇー」
「つーか、ぜったい嘘だろ。」
「なんで、わざわざ戦う前に、あんな名前とか家柄とか言わなきゃいけないんです?」
「そりゃ、血と名誉を重んじる騎士だからだよ。
 それが騎士クオリティ!」
「ところで、どうしましょう?」
「…うーん、どうすっかなぁ?」
,,,,no 01/31(木) 22:32:24,煙屋,,■壊れた馬車とダークエルフの騎士 2,
結局二人を残して、クロエが聞きに行くことに。
二人が見守る中、クロエは若い村娘を見つけ、
話し掛け、にこやかに談笑しだし、そのうち何故か一緒に木陰に座り込んで、
さらにはそこらに咲いてた花を摘んで、村娘に差し出したり…。

「…あれはナンパといわんか?」
「…そうですわねぇ。」

もはや出歯亀状態の二人。やがてクロエは村娘とどこぞに消えて。
…クロエが戻ってきたのは、それからさらに数刻経っていた。

「やぁ、ただいまー!(にこにこ)」
「おかえりー!(にこにこ)」
爽やかな笑顔で戻ってきたクロエに、爽やかな笑顔で迎えるライラとノワール。
ただし両者の笑顔の意味は違う。
ノワールがクロエを後ろから羽交い絞めし、ライラが羽根ペンを取り出した。
「では楽しい拷問の時間だ。
 こんな時間まで女性二人をこんな道端に放置した理由を語ってもらおう。」
「わー!タンマタンマ!!
 聞き込みしてただけだって!!」
クロエはなんとか拘束を抜け出し、必死で弁解した。
「とりあえず聞いた話じゃ、
 ファンドリアってファラリスは認めてるけど、国教とかにはしてないらしい。
 妖魔も市民権は認めてるけど、それだけってね。
 で、このあたりみたく、王都から離れた場所じゃ、けっこう他の国とかわんないみたい。
 さすがに王都は別らしいけど。
 でもって、ここの政治は実質、盗賊ギルドとか、ファラリス教団とか、
 いろんな団体がせめぎあって動かしてる訳ね。
 …ってことは、お姫様はそんな連中の一派に攫われたと推測できるわけなんだが…。
 どのみち王都に連れ去ってるだろうしね。
 それと、王都では盗品とかを売りさばく闇オークションなるものがあるらしい。
 一応秘密ってことらしいけど、公然の秘密ってヤツらしいね。
 …どうにも、お互い王都に行くしかなさそうだ。」
「まぁ予想どおりですわねぇ。」
「よし!クロエ、ご苦労だった!
 すぐさま出立だ!」
「あー、で、ですねぇ、ライラさん。」
クロエは咳払い一つ。
「なんだ?」
「その鎧は大変目立つんでございますのよ。
 なんつーか、『私はザインからやってきた騎士です』って言いふらしてる感じ?
 姫様救出は隠密行動だろ?」
「…確かに。」
「手はずは整えたから。
 ここでその鎧脱いで。」
そう言ってクロエは革鎧を出してきた。
「この村の狩人の人にムリ言って借りてきた。
 体型似てたしいけんじゃね?」
「…それは遠まわしに私の胸の小ささを指摘してるのか?」
「…いや、そんなつもりはなかったけど。
 自分でそう言うってことは、けっこう気にしてる?」
ライラの手が剣にかかりそうになるのを見て、クロエは慌てて逃げ出した。

    ・
    ・
    ・
,,,,no 01/31(木) 22:31:36,煙屋,,■壊れた馬車とダークエルフの騎士 1,
「この森を抜ければ、王都ファンドリアか…。」
ライラが呟く。
「あと少しですわね。」
ノワールもそう言いながら、一緒に歩いていく。
ライラの格好は金属鎧を捨てて、革鎧に替えてあった。

ユウノを追う二人と、姫を追うライラ、
この二組が未だ共に旅しているのは訳があった。

    ・
    ・
    ・

なんとか岸について、地元の官憲組織に湖賊を引き渡した後、
ザインに向かうオージー(あの時生き残った水兵)と除と別れ、
それぞれ、旅立ったわけだが…。
なにせ向かう先は一緒。
その上、ライラときたら、紋章入りの金属鎧をがしゃがしゃいわせながら、
出会う村人に、
「シャルロット様をどこにやった!?」
と剣を突きつける始末。
「クロエ・チョップ!!」
背後からライラを殴り倒して、ライラを引きずりその場を離れ、とりあえず説教。
「あのなぁ。
 話を聞くのにいきなし剣を突きつけてどうする?」
「しかし!
 彼奴等は暗黒の国ファンドリアの民で、
 しかもシャルロット様を攫った国の連中だぞ!?」
「領民全部が邪悪ってわけでもないだろうが。
 だいたい敵地だって思ってんなら、話を聞くだけで騒ぎを大きくすんなや(゚Д゚)ゴルァ!」
「ふふふ、お姉さま。ここはわたしにまかせてくださいましw」
ノワールはそう言って村人に近づいて、
「あのぉ、闇商人レムス老を探してるのですけど、ご存知ありません?
 ついでにお姫様を攫った方々も探してるのですけど…」
「クロエ・ドロップキック!!」
背後からノワールを蹴り飛ばして、ノワールを引きずってその場を離れ、説教。
「相手の国で、単刀直入に聞きすぎ!」
「そうだ!だいたいシャルロット様のことを"ついで"とは何事だ!」
ライラも一緒になって怒るが、問題はそこじゃないし。
「えー?だってこうすれば、レムス老なり、黒幕の方々の耳に入ったとき、
 わたし達を襲いにくるでしょう?」
「…ノワールさん?
 そういうのは、情報が伝わりやすい本当のお膝元でやることで、
 ついでにいうなら、自分達の命をマトにするような、
 そういう最終手段を、いきなし、事前相談もなく、するなや(゚Д゚)ゴルァ!」
とひとしきり切れた後、クロエは溜息混じりに言った。

「俺が聞いてくるから。
 二人ともここで待機。」
,,,,no 01/31(木) 22:29:15,煙屋,,■プロローグ5,
○王都ファンドリア、レムス老の屋敷内のとある場所

檻の中でユニコーンのユウノは眠っていた。

不意に頭の中で声が響く。

(ユニコーンよ。聞こえるか。)

暖かく力強い声。

(あなたは?)

ユウノは顔をあげる。
しかし暖かい光を感じるだけで、姿は見えない。

(我に比較的近しい存在のそなたにしか我が声は届かぬ。
 地の底に封じし邪悪なるものが今、目を覚まさんとしている。
 我が封印の力を弱めようと、邪悪なるものたちが動き出している。
 急げ。)

(急げって、今捕まってるのに)

しかし、もう声は聞こえない。

(…にいさん。はやく助けに来て!)
,,,,no 01/31(木) 22:28:41,煙屋,,■プロローグ4,
○王都ファンドリア内のとある酒場

王都ファンドリアにある路地裏の寂れた酒場、
そこに男女11人が集まっていた。
その内の一人の青年が、真ん中のテーブルで本を読んでいる青年に声をかけた。

「…えっと、それマジ言い?」
「あぁ。オークションを襲う。」
「…オークションって、まさか地下オークションじゃないよね?」
「いや、その地下オークションだけど?」
「…ジョニー。
 地下オークションっていえば、年一回ファンドリアで行われる、盗品のオークションだ。
 ファンドリアの盗賊ギルド、ファラリス教団、魔術師ギルド、暗殺者同盟、貿易商ギルド、
 こいつらが共同で取り仕切り、世界各国からの値打ちの品物がごろごろ集まってくる。
 …それだけに、警備が厳しい。
 まず、地下のオークション会場に入るには、入場券が必要だ。
 身元が確認されて信頼できる奴しか貰えないし、入場券自体が高価だ。
 次に、品物の保管場所。
 いくつかの地下倉庫に保管されていて、何重もの警備や罠が仕掛けられている。
 さらにオークション会場へは武器は持ち込めない。
 …だが、一番やっかいなのは"陰獣"だ。
 盗賊ギルド、ファラリス教団、魔術師ギルド、暗殺者同盟、貿易商ギルド
 それぞれから選りすぐった殺し屋どもで作られたオークションを守るためだけの組織。
 …ジョニー・オーウェン。どう考えても無茶だ。リスクのほうがでかい。」
「…そうだよねぇ。
 他はなんとかなるにしても、
 "陰獣"対策は必要だよねぇ。
 …なんかいい手はないかなぁ…?」
「あきらめるって方法ならあるぞ。」
リーダーのジョニーを諌める青年。
ジョニーは、隣に座ってる女性、レフティと顔を見合わせて肩をすくめた。
「そんなつまんないことを。」
「つまんない、つまんなくじゃない。」
「いいじゃん、やろうぜ♪」
がたいのいい大男が楽しげに言う。
「私も賛成。」
「さて、どこから準備すればいいですかね?」
他の者達も乗り気だ。
唯一諌めようとしていた青年は、いらだたしげに頭を掻くと、
「あぁっ、もう!プランを見せろ!
 俺も考える!」
そう叫んだ。
「そうこなくっちゃ♪」
ジョニーはにやりと笑った。
,,,,no 01/31(木) 22:27:56,煙屋,,■プロローグ3,
○王都ファンドリア内、闇商人レムス老の屋敷

レムス老は応接間で客人と向き合っていた。

「…そうですか、今年のオークションは珍しいものが多くて、
 実に楽しみですなぁ」
「えぇ。今年は当たり年ですよ。
 もっとも、生きたユニコーンの子供ほどの商品以上に
 目玉となるものはないでしょうが。」
「はっはっは。
 ひょんなことから手に入れましてな。
 わしはついている。」
「それでは当日楽しみにしていますよ。」

客人の男はレムス老に一礼すると部屋を出て行った。
レムス老は客人を見送ると、その足でとある部屋に向かった。
警護の者に扉を開けさせる。

その部屋の真ん中に、大きめの檻がおいてあり、中には一匹の幼いユニコーンが眠っていた。

「ふふふ。
 お前は、わしの金を産む卵じゃ。」

レムス老はそう呟くと、警護の者に扉を閉めさせ部屋を出て行った。
,,,,no 01/31(木) 22:27:26,煙屋,,■プロローグ2,
○王都ファンドリアのとある商人の屋敷

「まったく困ったものだ。」

その恰幅のよい中年の男は、整えられた顎鬚を撫でながら、部屋の中を歩き回った。

その部屋は、足首まで埋まりそうな絨毯、趣味が良く重厚な家具、高価そうな装具品類が並べられていた。
そして革のソファーには一人の人物が座っていた。
顔はターバンと鼻まで覆う覆面に隠され目しか見えない。
身に纏った衣装も黒いマントで、体の線すら判別できない。
性別はおろか、種族すら判別がつかない外見の人物。
ただ、その目だけは、その人物が殺人者だということを雄弁に物語っていた。

覆面の人物は、感情を見せない瞳で、中年男を見つめる。

中年男はその視線を気にするでもなく喋り続ける。

「エヴァースが先走りおった。
 まぁヤツは主にザインとの交易で儲けてたからな。
 今度のラムリアース王家とザイン王家の婚姻は一際気になるだろう。
 …だが、ザイン王女をさらうのは下の下だ。
 大方、薬漬けで傀儡にして、陰謀の手駒に使う腹だったんだろうが、
 露見すればファンドリアが国際的に孤立しかねん。
 しかもこんな杜撰な策、ばれんとでも思ってたのか…。
 だいたい、それだけでザインとの交易が無くなるわけでなし…。
 今は、貿易商ギルドだ暗殺者同盟だで争っている場合ではない。
 わかるな。」

「政治に興味はない。
 依頼は果たす。」

覆面の人物のにべもない言葉に、中年男は溜息をつきながらも、言葉を続けた。
 
「…というわけでだ。ザイン王女をなんとしてでも救出せねばならん。
 王女を攫った連中は殺していい。
 ただし、王女だけはなるべく無傷で取り戻して、わしのところに連れて来い。
 それが依頼だ。」
「…もう攫われてしまってるんだ。
 今更助けたところで、心証が良くなるとも思えんがな。」
「なんだ、政治の話もできるじゃないか。
 …確かにな。
 だが、このままエヴァーズの稚拙な策に乗っては一緒に沈みかねん。
 負け始めたら、さっさと降りるのがギャンブルの鉄則だ。
 エヴァーズの首を差し出せば、体面は保てるだろう。
 それにファンドリア全体が信用されなくてもいい。
 わしらがザイン王女を救出した、という事実を作れれば、
 この国の中でも、ザイン、ラムリアースとの関係においても、強みになる。」

中年男はにやりと笑った。

「いいだろう。依頼は引き受けた。
 王女の周りにいる連中は殺し、
 王女は無傷で攫えばいいのだな。」

覆面の人物は、男とも女ともとれる声で依頼を確認すると、
隙を感じさせない動きで、音一つ立てずに部屋を出て行った。
,,,,no 01/31(木) 22:26:55,煙屋,,■プロローグ1,
○王都ファンドリア近くの森の中
"無貌の"クナイケルは王都ファンドリアへ向け、森の中、車を走らせていた。
ザインの水兵の一人を殺し、そいつになりきりザイン水軍に潜入し、
思惑通りシャルロットの輿入れの護衛の兵団に潜り込み、
偶々遭遇した湖賊との戦闘のドサクサに紛れ、
誰にも見咎められずに、シャルロット姫を拉致することができた。
入念な計画、潜入のスキルもあったが、幸運にも恵まれたといっていい。
あとはこのザインの姫を王都にいる雇い主に届ければクナイケルの仕事は終わり。
この森を抜ければ、すぐに王都だ。
クナイケルははやる気持ちを抑え、馬に鞭を入れた。
次の瞬間、馬が何かに躓き、転倒する。
馬車は勢いを止めることができずに、横転した。
大地に叩きつけられ、何事かと馬のほうを見る。
馬は転倒のはずみで馬車の下敷きとなり息絶えていた。
そして木々の間にピンッと張られたロープ。

(罠か!?)

クナイケルが気づいたときには、もう遅かった。
周囲を囲まれた気配。
クナイケルのこめかみに冷たい銃口が押し付けられる。

「悪いねぇ。
 最近、街ん中じゃ実入り悪ぃから出稼ぎ来てんのよ。」

少年の声が頭上から降ってくる。

「…ガキが!
 お前らは何をしたのかわかってんのか!?
 ファンドリアの国益のための仕事なんっ!」

クナイケルが全部を話し終わる前に少年がクナイケルを殴り倒して昏倒させた。

「俺らガキだからよー。
 大人に馬鹿にされんのムカツクんだわ。」
「アニキー!」
「どうしたー?大量だったか?」
「それが金目の物なんもねーっす!」
「うっそ!?マジで!?」
「そんかし、変なモンが…」

部下の声にリーダーの少年は馬車の中を覗き込んだ。
そこには拘束され猿轡をかまされた少女が寝転がっていた。
通常の眠りではないのか、この騒ぎの中でも目を覚ましていない。
けっこうな身分のようで、高価なドレスを身にまとっている。

「どうします?」

部下の少年達が声をかけるが、リーダーの少年は食い入るように、その少女を眺めていた。

「…かわいい…」

少年はそれだけつぶやいた。
,,,,no 12/31(月) 13:24:09,純平@管理人,junpei04@ybb.ne.jp,テスト,
test
,http://www.journey-k.com/~brpg-la0621/index.htm,,50:07&6-1:6-2:2-4::3,ok