最初に。 これは、以前『ある日の一コマ劇場にて』で行われたイベントを編集したリプレイです。 ノワールでいうならフィールド022-02「デコイ」とフィールド020-02「おふくろ亭へようこそ」の間くらいになるでしょうか。 ある日の一コマ劇場にて バレンタイン企画 イヴェント名:男性に何か贈ろう     :バレンタインデー(2月14日)または、     :男性の日(2月23日) 受付  :1月1日〜2月14日 などという企画がありまして。 青山羊亭にいる乙女(?)達がにわかに騒ぎ始めました。 ■スネジャナの場合 贈り主 :082−01 スネジャナ    贈り先 :070−04 ランス・アルマリオンさん 品名  :ガトーショコラ 活動実績:F3より帰還。次の冒険に向けて待機中。 接点  :主にパラレルで活動。ランスさんから剣術を教わっている最中。      何とか形になりつつある。      師弟関係であることは確かなところだが関係は微妙。 備考  :去年の女性の日(3月8日)にランスさんからミモザの花束をいただいている。      スネジャナの故郷バイカルではバレンタインデーの習慣は無いかわりに男性の日がある。 場所はラ・ロマレダ。サーヴィアがいます。 サーヴィア:「えへへ。ハート型のおせんべい焼いてるんだ。いいでしょ。」 スネジャナ:「ハート型なんですか?面白いですね。」 サーヴィア:「女の子が告白する日なんだけど、        お世話になっている男性に渡したりするんだよ。        チョコレートが一般的なんだけどさ、        あたしの師匠は本命からもらえるだろうからね。         これくらいだったら師匠も抵抗ないだろうし。        えっと、ほら、彼にあげるんでしょ?」 スネジャナ:「もちろん。こちらではそういう習慣があるんですよね、        男性の日のほうが日程が遅いから        バレンタインでもらえないと面子が立たないかもしれませんね。」 サーヴィア:「ね?あたしみたいに全然脈ナシっていうんじゃないんだしさ。        がんばっちゃお?」 スネジャナ:「そうですねぇ。彼はどうかしたらお菓子も上手に作れますから、 ごかまし効かないですよね。」 サーヴィア:「ああ・・あの そういう頑張りじゃなくってさぁ・・」 原材料のチョコレートはミッシェルから譲ってもらった模様。 エア・ラッテはミルクチョコやホワイトチョコが好評です。 しばらくすると、いいにおいがして焼けてきます。 サーヴィア:「クグロフがあれだけ焼けるから楽勝だったでしょ?」 焼き立てのケーキを籠の上に乗せてあら熱をとります。 スネジャナ:「そうですねぇ。あとはラッピングですか…」 サーヴィア:「ああ、そういうことなら・・・キコちゃんに頼もう。彼女上手だよ?」 ラッピングはキコが担当。リボンの結びも凝っていてそれなりの出来です。 キコ   :「どうみてもこれ 本命宛てだねぇ。まあ いいんじゃん?」 出来ばえを見て満足そうです。 ■セーラの場合 贈り主 :082−02 セーラ・モンティーヌ    贈り先 :070−02 スルト・ヴァールハイトさま 品名  :チョコレート 活動実績:F31より帰還。次の冒険に向けて待機中。 接点  :主にパラレルで活動中。冒険の仕事は3回達成、うち二回はスルトさんと一緒。      すでに親密な仲。親族に浸透を図り両家公認の婚約者を目指したいところ。 備考  :まだ一部の家族は交際を認めてもらえなさそう。家族を誤魔化しながらの作業。     :ファデットの一族はモンティーヌ家の人間と面会済。    セーラは実家で作り方を見ながらガナッシュを作成中。 ミッシェル:「ほう・・結構気合はいってるな。」 セーラ  :「うふ。材料のチョコレートはウチの製品ですもの・・」 ミッシェル:「あんまり失敗されると困るんだけどな。        しかし、あのエルフの爺さんにそこまでいいもの贈らんでも…。」 セーラ  :「でも今回は生まれて初めて贈るんですのよ?本当のおじいさまに。        泣いて喜びますわ。」 ミッシェル:「それもそうか・・そうだな。」 チョコレートが出来上がりラッピングが済むと失敗作を持って屋根裏部屋へ。 そこにはファデット(ファブ)が待機しています。 ハードロックの扉は合言葉を言うと開きます。 セーラ  :「おじいさま?」 ファブ  :「エウフェか…なんかいいにおいがするな・チョコレートか?」 セーラ  :「ええ、形が崩れちゃいましたの・・・」 ファブ  :「気にするな。全部食う。エウフェが作ったものは全部食うぞ?」 ファブは形の崩れた失敗作を美味しそうに食べ出します。 ファブ  :「しかし、この部屋は懐かしいな。里帰りしたって感じだ。        でもまあ、長居は出来ねぇ        皆に見つからないうちに帰るぞ。でもこんなんだったら毎年呼んでくれ。        これ、アレだろ?彼にはまともなやつを作ってるんだろ?」 セーラ  :「ええ。来年はここまで失敗作は出ないかもしれませんわよ?        彼のは出来ましたわ。        これと同じものなんですけど・・」 そういってセーラは綺麗にラッピングされた包みを差し出します。 ファブ  :「これ…オレにか? いいのか?エウフェ?        オレは失敗作だけでも・・(泣く)        でも・・嬉しい。すげー嬉しい。 ありがとう。」 ファブは結局泣き出したようです(笑) ■クレアの場合 贈り主 :099−02 クレア・アーデレード 贈り先 :082−03 ドクトル・ジュリアスさん 品名  :チョコレート 活動実績:F19で活躍中。 接点  :カウンターで知り合い、雑談テーブルで意気投合。そのまま一緒に仕事へ。      初デートも闘技場のモンスターに邪魔されたりと何かとアクシデントの多いカップル。 備考  :クレアが普段しない料理に挑戦、ということで弟の嫁さんにサポートを依頼。      果たして、人様に上げられる作品に仕上がるのか!  クレアは実家のアーデレード商店の母屋で義妹監修のもと、チョコレートをサンドしたクッキーに挑んでいます。 クラウディア:「義姉さんが料理なんて珍しいわね」 クレア   :「ふふふ!愛のためよ!」 クラウディア:「あ、チョコはもっと細かく刻んで。         でないと湯せんの時に溶け残るから」 クレア   :「了解!」 クラウディア:「気をつけて。義姉さん、包丁を持つと必ず手を切るんだもん。         彼氏に自分の血液入りチョコ、なんて呪術みたいなことは避けないと」 クレア   :「・・・だよねー。ここは慎重に、慎重に・・・」 クレアは猫背になって神妙な面持ちでチョコを黙々と刻みます。 途中、熱湯で一気にチョコを溶かそうとしたクレアをクラウディアが注意したり、 焼きあがったばかりのクッキーを見てすぐさまチョコのサンドに取り掛かろうとしたクレアをクラウディアが待つ様指示したりと、色々ありましたが何とか完成します。 クラウディア:「ようやく完成ね。お疲れ様」 クレア   :「クラウ、さんきゅー。助かったよ」 クラウディア:「義姉さんの想いが伝わるといいね」 クレア   :「そだネ。きっとうまくいくよ」 クラウディア:「じゃ、失敗作でお茶にしますか!」 クレア   :「私、紅茶煎れるねー」 クレアの袋詰にした10枚のクッキーを組み合わせると「LOVE MLADEN」となります。 クレアはじゅりーに手渡しする日を楽しみに 大事に袋詰したクッキーをしまうのでした。 ■ウルアットの場合 贈り主 :073-09 ウルアット・タタキル 贈り先 :012-01 シアン・マクラニーさん 品名  :チョコレート 活動実績:F4で活躍中? 接点  :カウンターで知り合う。その後一緒に仕事へ。      ウルアットがシアンさんにファイターとしての特訓を施している。      たまに、ウルアットのほうから誘って、デート?をする事も。 備考  :ウルアットがバレンタインのことを知り、友人の手を借りてなれないお菓子作りに奮闘します。      ・・・シアンさんは受け取っても、何故渡されたか気付くのかどうか(何 ある日の青山羊亭の厨房・・・。 ロベルタ :「ここは、こうして、こう。」 ウルアット:「えーっと、こうやって・・・こうで・・・(どんがらがっちゃーん)」 ロベルタ :「・・・ここまで才能無いなんて凄いですね・・・」 ウルアット:「うぅぅ〜、褒めてないヨゥ。ロベルタ、もう一回お願いネー!」 ロベルタ :「仕方が無いですね。頑張りましょうか。」 チョコを砕けば、粉々になって飛び散ったり、力が入りすぎてまな板の削りカスがはいっていたり。 溶かそうものなら、温度は間違えるは、溶かしたのを思いっきり零すわ。 そんなウルアットを叱る事無く、根気良くチョコの作り方を教えるロベルタ。 そして・・・ ロベルタ :「・・・・・・(溜息)」 ウルアット:「・・・・・・(涙目)」 ロベルタ :「・・・大量にあったチョコを使い尽くしましたが、出来ましたね・・・一応」 一応ハート型?なチョコができました。少し、余った奴で味見をするロベルタ ロベルタ :「・・・あら、意外と味はいいですね。頑張った甲斐がありましたね。        ウルアットさん」 ウルアット:「うん!ありがとうロベルター」 ロベルタ :「いえいえ、頑張ったのはウルアットさんですよ。        ふふ、余程、チョコを渡したい男性が居るんですね」 ウルアット:「えへへ・・・うん、渡したいな。喜んでくれるかな」 ロベルタ :「大丈夫ですよ。絶対」 不恰好なハート型のチョコ、ハートの中には勇気を出すのに一時間近くかかった【大好き】という文字。 しかし悲しいかな、東方語で書かれたその言葉は渡す相手には読め無い文字なのであった。 でも、きっと(いつかは)気持ちが伝わる日が来るはず・・・。 ■プリシラの場合 贈り主 :065-04 プリシラ 贈り先 :040-03 フィティス=ハイル=ログネラードさん     :031-05 紅焔さん 品名  :ガメルチョコ(ガメル銀貨型チョコレート) 活動実績:F1にて3人トリオで絶賛活躍中!(桜花の事情〜義兄探し〜) 接点  :逆立ち青山羊亭カウンターで知り合い現在の仕事を3人で請け負う 備考  :3人の初仕事で初めて手に入れたアイテムが3ガメル(1人1ガメル銀貨ゲット)      これを記念してプリシラはガメルチョコを作成し2人に振るまう事にした ガネード神殿の厨房‥否、工房 プリシラ :「炉の火はこんなものね、さてと始めましょう。」 粘土板に1ガメル銀貨の表面を押し付けて型を取り、上手に銀貨を外した後に石膏を流し込みます 同じ様に1ガメル銀貨の裏面を押し付けて型を取り、上手に銀貨を外した後に石膏を流し込みます ・ ・ プリシラ :「石膏の乾燥よし、        石膏が12個分固まった処で鋳型をつくることにしましょう。」 石膏製の器に先ほど造った石膏の1ガメル銀貨(表)を12個はめチョコ流しこみ用の枝道をつけて乾燥させた処に溶けた鋳物を流し込みます 同じ様に器に先ほど造った石膏の1ガメル銀貨(裏)を12個はめチョコ流し込み用の枝道をつけて乾燥させた処に溶けた鋳物を流し込みます ・ ・ プリシラ :「鋳物の完成よし、これでいくつでも造れるわ♪」 工房から厨房に移動して、原版に溶かしたチョコを流し込み固まったら溝消しを行い次々とガメルチョコを作成していくプリシラ ・ ・ プリシラ :「これって違法にならないわよねぇ        ‥まぁいいわ、寮長に味見していただきましょう♪(カリカリ)」 (一時間後) ・ ・ 寮長   :「大変美味しく頂きました、ガメルチョコとは洒落が効いた一品ですね・・・        ただし、両面鋳造溝消し処理は凝りすぎですよプリシラ。」 ■ノワールの場合 贈り主 :008−01 ノワール    贈り先 :012−05 エトワール・テールベルトさん 品名  :チョコレートと仮面(目の部分だけを覆うようなやつ)と赤いマント 活動実績:F22で冒険中。 接点  :F22で一緒に冒険中。      ただの友達から、最近ちょっと気になる男の子になった。 備考  :ここに出るロゼ、ルージュはノワールの年の離れた双子の姉たち。(NPC)      ルージュはノワールの武道の師匠でもある。ロゼは現在一児の母。      同じ顔のルージュには、今だに浮いた話の一つもない。 ノワールは安い借家の台所でチョコと格闘中。そのとき扉をノックする音が。 あわてて扉を開けると、目の前に拳が飛んできます! とっさに顔を庇い、後ろに跳び退ろうとするノワールの足が刈り取られ、 腹部に衝撃が走ります。 玄関口で芋虫のように転がり痙攣しているノワールを見下ろす赤毛の美女。 ルージュ :「あいかわらず、目先の物事にとらわれがちね。さっさと起きなさい。」 そういわれた瞬間、ノワールは飛び起きました。 ノワール :「(げほっごほっ)…ルージュお姉さま、なんだってここに?(涙目)」 ルージュ :「可愛い妹の様子を見に来たんじゃない。ご挨拶ね。        …それにしてもずいぶんあわてて起き上がったじゃない。」 ノワール :「…あと3秒寝転がってたら、踏みつける気でしたでしょう?」 お腹を押さえ脂汗を流しながら問うノワールに、ルージュはにっこり笑って肯定しました。 ルージュ :「あたりまえでしょ。実戦でダメージの回復を待ってくれる敵がいると思う?        倒れたところに攻撃する方法なんて、子供でも五つは知ってるのよ。」 ノワール :「…前から思っていたんですけど、        そんな子供はお姉さまだけだと思う。(ぼそり)」 そのときルージュの後ろから声がかかります。 ロゼ   :「ちょっと、ルージュ!いきなり妹になにしてるのよ!」 後ろから現れたのはルージュとまったく同じ顔の女性。 違いがあるとすれば、ルージュの格好が男装かと思うほど活動的なものに対し、 ロゼのそれは、女性らしいものだということぐらいです。 ノワール :「ロゼお姉さま!ロゼお姉さまもいらしてたのね!」 ルージュのときとは一転、満面に喜色の笑みを浮かべてロゼに抱きつくノワール。 ロゼ   :「かわりはないようね。元気そうでなによりだわw」 抱擁を返し、ロゼは言いました。 ノワール :「でも、どうして急に?」 ロゼ   :「あなたが手紙送ってきたんじゃない。        『拝啓。ロゼお姉さま。いかがおすごしでしょうか?         私は今、大っピンチです。         チョコレートの作り方がわかりません…』        一応、アンチョコは送ったけど、不安だったから、        娘を旦那に預けて見に来たの。        それに、あなたが送りたいチョコの相手のことも詳しく聞きたかったし」 ロゼは含み笑いしながら、台所に入り絶句しました。 そこはまさしく戦場といった様相でした。 あちこちにチョコのカケラやらとけかすなどが飛び散り、 こげた鍋や何故か鉈が転がっています。 そしてテーブルの上には不恰好なチョコレートがいくつか転がっていました。 ルージュ :「どれどれ?」 ノワール :「あぁっだめぇっ!」 止める暇も無く、ルージュはおもむろに一つつまみ、口の中に放り込みます。 そして、そのまま昏倒しました。 ノワール :「…だから言ったのに。」 ロゼ   :「すごいわね。ルージュをKOしたの、初めてじゃない?」 ・ ・ 昏倒したルージュをそのままに、ロゼのチョコレートクッキング教室。 ロゼ   :「どうやったら、私のアンチョコからこんな毒物ができるわけ?」 ノワール :「チョコを細かく刻むように書いてあったから、鉈で適当にぶった切って、        その後、湯せんするって書いてあったから、煮えたぎった鍋に放り込んで、        冷やしても固まらないから、きっと水分が多すぎるんだと思って、        とことん煮込んでみましたの。」 ロゼはノワールの説明を聞いてこめかみを押さえます。 ロゼ   :「野伏のキャンプ料理とおんなじ作り方じゃだめよ。        こんなことだろうと思ったわ、まったく。」 ロゼはエプロンをして腕まくりをすると、ノワールの前に立ちました。 ロゼ   :「さぁ!ルージュじゃないけど、ビシビシいくからね!」 ・ ・ 悪戦苦闘しながらチョコレートをナイフで刻むノワール(鉈は止められた)に ロゼが話しかけます。 ロゼ   :「…ところで、あなたがチョコをあげたい人ってどんな人?」 ノワール :「…なんっていうか、あったかい人ですわ。        かわいらしいというか、なんていったらいいんでしょう?        …たとえば、すごくささやかだけど奇麗なものがあって、        普通はそんなもの見逃してしまうのだけれど、        それに気付かせてくれてくれる。…そんな方ですわ。」 ロゼ   :「…好きなんだ?」 ザクッ!チョコを削っていたナイフが、ノワールの手を切り裂きました。 ノワール :「えっ!?違いますって!        エトさんはわたしなんかと違ってホントにいい人なんですよっ!」 ロゼ   :「手っ手ぇーっ!血が出てる!」 あわてて手当てするロゼ。 ノワール :「…エトさんは、わたしの大事なお友達なんです。」 手当てされながらノワールは心持ち赤くなって呟きます。 ロゼ   :「へぇ〜?」 人の悪い笑みを浮かべながらロゼはノワールの手に包帯を巻きます。 ルージュ :「…大丈夫。そんなのはタダの気の迷いだ。5年ぐらい山篭りすれば忘れる…」 ロゼ   :「えいっ♪」 目を覚ましたのか、苦しげに呻きながらも口を挟んだルージュの口の中に、 ロゼは先ほどのノワールの失敗作を放りこみました。 またも痙攣して昏倒するルージュ。 ロゼ   :「私だって、倒れたあなたに攻撃する方法なんて、一つぐらいは知ってるのよ。」 ルージュにそういい捨てると、ロゼはノワールに向き直りました。 ロゼ   :「まだまだねんねだもんねー、ノワールは。        いい?自分の気持ちによく耳を澄ませておくのよ。        自分だけはごまかせないんだから。        …さぁ、再開しましょうか。」 ・ ・ ロゼの監督の下、チョコ作りにいそしむノワール。 ノワール :「あぁっ!わたしにはお料理作りの才能はないんですわっ!」 あまりに不出来な自作チョコを握りつぶしながら、嘆き崩れ落ちるノワール。 ロゼ   :「うん。私もそれは認める。」 テーブルの上の失敗作の山を眺めながら、ロゼは呟きます。 それからノワールのそばにしゃがみこんで、 ロゼ   :「なんならこれ使う?私が作ったやつだけど。」 そこには店で買ってきた商品かと見まごうぐらいの、美味しそうで細工にも凝ったチョコレートが。 ノワール :「いいんですの!?」 ロゼのチョコレートをしっかり受け取りながら、訊ねるノワール。 ロゼ   :「でもね。このチョコレートで喜ばれるかは保障しないわ。        バレンタインのチョコで大事なのは、愛情っていう隠し味だから。        見た目や味で、店で売ってるものに敵うわけはないけど、        相手のことを思う気持ちを込めて作ったものは、もらう人にとって        どんな高級なお店で買うものよりも、嬉しいものに変わるのよ。」 ノワールはロゼからもらったチョコレートをしばらく見つめると、おもむろにぱくりと食べてしまいました。 ノワール :「…なんとなく分かった気がしますわ。」 ノワールは立ち上がると、再度チョコ作りに挑戦することにしました。 ・ ・ ・ やがて、不恰好ながらもチョコは完成。 今だダメージが抜け切れず、思うように動けないルージュをノワールが押さえ込み、 ロゼがチョコを一欠け持って近づきます。 ルージュ :「…やめて。…助けてっ!」 ロゼ   :「大げさねー。…えいっw」 ルージュ :「うわあぁぁぁぁぁぁあ?……美味しい…。」 ロゼ   :「成功よ、ノワール!」 ノワール :「やりましたわ!ロゼお姉さま!」 毒見も無事終了。 ・ ・ ・ チョコ作りも終わり、二人の姉は帰り支度をし、お見送りしようとするノワール。 ロゼ   :「近いうちに家にも顔出しなさい。元気でね。」 ノワール :「はいっ!お姉さまもお元気でっ!」 ルージュ :「色気出してる暇があったら、もっと精進しなさい。」 ノワール :「…ルージュお姉さま、今度来るときは事前に手紙くださいね。逃げますから。」 スパンッ!ルージュの拳がノワールの顔面に入ります。 ロゼはため息をつきながら、その様子を眺めてたいましたが、 ふとチョコの傍に置いてある目の部分を覆う仮装舞踏会のような仮面と赤いマントに目を留めました。 ロゼ   :「…ねぇノワール。あのマントと仮面はなに?」 ノワール :「…あぁ!エトさんはサーガのヒーローになりたいんですって。        ヒーローって言ったら仮面と赤マントでしょ?        だから用意しましたのw」 ノワールは鼻をさすりながらも、さも当然のことのように、快活に答えました。 ロゼ   :「………そう。」 ノワール :「ロゼお姉さま、ほんとにアリガトウございました。        お兄様達によろしく伝えといて下さいませ♪」 ノワールに送り出され岐路に着く二人。 ロゼ   :「………不安だわ。」 ルージュ :「あのこは武術の才はあっても、恋愛の才は無い。        無理だって。」 ロゼ   :「…自分のこと、重ねてないわよね?」 そうして、ノワールの二人の姉は帰っていきました。 ノワールは姉を送り出した後、マントと仮面と不恰好にラッピングしたチョコ、 それに『大事なお友達、エトさんへv』と書いたメモを添えて、大事そうに棚にしまいました。 end?